「ウマ娘」に多くのプレイヤーが熱狂する理由 売り上げ世界3位の衝撃

競走馬を美少女に見立てて、そのキャラクターを育成して走る速さを競い合うスマートフォンゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の快進撃が止まらない。今年2月24日にリリースされてから人気と知名度は急上昇を続け、4月のモバイルゲームの売り上げ額は世界3位にランクインした。テレビアニメも第2シーズンまで制作される人気ぶり。爆発的な人気となった一風変わった育成ゲーム。何がそこまで人を惹(ひ)きつけるのか。

「ウマ娘 プリティーダービー」(Cygamesのプレスリリースより)

国内配信のみで売り上げ世界3位に

スマホゲーム開発大手のCygames(サイゲームス、東京)が手掛ける「ウマ娘 プリティーダービー」。実在した日本の競走馬の名前と魂を受け継ぎ、馬の耳と尻尾を持った「ウマ娘」と呼ばれる少女たちが、「トゥインクル・シリーズ」という現実の中央競馬を模したスポーツ・エンターテイメントのレースで競走するという育成ゲームだ。リリース後わずか2カ月で600万ダウンロードを突破する大ヒットとなった。

今月10日に米調査会社「Sensor Tower」が発表したモバイルゲームの売り上げ(課金を含む)ランキングでは、日本国内のみの配信にもかかわらず世界3位となったことで、「日本語展開のみで3位は驚異的」「日本人課金しすぎ」とユーザーの間で衝撃が走った。

ゲームでは、プレイヤーが「トレーナー」としてウマ娘というキャラクターを育成し、目標となるレースで一定着順以内でゴールすることでストーリーを進行させていく。目標は「新馬戦に出走」から「有馬記念で1着」といったものまで難易度もさまざまだ。最終的に「URAファイナルズ」と呼ばれるレースで優勝することがストーリー上の目標となっている。

レース結果はスピードやスタミナ、パワーといったウマ娘の能力のほかに、その日のやる気や距離、馬場の適性、逃げ・差しなどの作戦によっても変動。実際の競馬さながらの要素が複雑に絡み合い、ウマ娘が体得した「スキル」によってもレース展開が大きく左右されるのが特徴だ。

競馬をしないユーザーを引き込む

「自分が育てたウマ娘が走っている姿を見ると、胸が熱くなります」

東京都板橋区の男性会社員(29)は、ゲームを楽しんでいるうちに自分が育成したウマ娘に愛着が湧き、すっかり虜(とりこ)になった。競馬ファンではないが、「ストーリーもしっかりしていて、キャラクターの個性や、なぜ頑張っているのかといったバックグラウンドもあってとても良いです。操作性も直感的に分かりやすく、課金しなくても十分楽しめます」と、その魅力を挙げれば切りがないという。

実在した競走馬の名前と魂を受け継ぐウマ娘。このキャラクター設定はレース展開にも反映され、歴代の名馬が実際に得意とした距離や作戦などを踏襲している。テレビアニメでも、実際のレースで起こったエピソードや実況を再現。現実の競馬映像とアニメを比較する動画もユーチューブに投稿された。

「もっと強く…」と熱中する人も

起伏に富んだストーリー展開に魅力を感じるユーザーがいる一方、純粋に自分のウマ娘を強くしたいという気持ちでプレイを続けるユーザーも。

「一度育成が終わっても、次はもっと強くなれるんじゃないかと思い、ひたすら育成を繰り返しています」

東京都世田谷区の男性会社員(29)は熱心な競馬ファンだけに、レース結果を重視。だが、あくまで強いウマ娘を育成することにこだわり、本来はゲームの重要な要素になっているストーリーは「ほとんど飛ばしてプレイしている」(男性)という。ゲームでは、ウマ娘の育成が終わると、ステータスに応じたランクが付けられ、「殿堂入りウマ娘」として登録される。そのウマ娘たちで自分のチームを作り、他のユーザーが作ったチームと対決することも可能だという。

現実の競馬でも「血統」が重要な要素とされるように、ウマ娘もまた、育成を始める際に殿堂入りウマ娘から「因子」を引き継ぐことができ、育成過程で能力に大きく影響する仕組みになっている。ひたすら“上”を目指す人にとっては、強いウマ娘の育成方法を模索することが、継続してプレイするモチベーションにつながっているのかもしれない。

今や新しいキャラクターが育成ウマ娘に登場するだけで、その名前がツイッターのトレンドワードランキング1位に躍り出ることも。社会現象を巻き起こしているウマ娘の魅力は、競馬ファンやアニメファンだけでなく、馬に詳しくない人も十分に楽しめる「間口の広さ」にあるといえそうだ。


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