イスラエル博物館所蔵「印象派・光の系譜」―モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン(産経新聞社など主催)が15日から、東京都千代田区の三菱一号館美術館で始まる。展覧会の見どころを、三菱一号館美術館の安井裕雄・上席学芸員が解説する。
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日本初出展 名作の数々
イスラエルの都市エルサレムに所在するイスラエル博物館の所蔵品は50万点にものぼり、「死海文書」のように、わが国においてよく知られた史料も含まれる。近現代の美術のコレクションも極めて充実しているが、大多数はこれまで来日したことがない。
印象派の巨匠モネが1907年に描いた《睡蓮の池》[作品1]は、長い間わが国のモネ愛好家の羨望の的であった作品のひとつである。1860年代末からモネと画架を並べて屋外で競作をした印象派の巨匠ルノワールは、生前から美しい女性像で名声を得ていたが、背景となる屋内外の情景や、傍らの静物を描く手腕にも秀でていた[作品2]。印象派に続く世代の画家たちもまた、日常生活[作品3]そして都市の情景[作品4]からも着想を得ていたことが知られている。
印象派の真骨頂
だがやはり印象派の真骨頂は、生き生きとした風景の表現にある。1900年に《テュイルリー宮庭園、午後の陽光》[作品5]を描いた時、印象派の画家ピサロは、パリ市内を東西につなぐ幹線道路のリヴォリ通りに隣接する、現在のジュ・ド・ポム美術館の傍らに画架を据えていた。
庭園の西北の端、オベリスクが聳(そび)え立つコンコルド広場に近い。画面の外となる庭園の東端には広大なルーヴル宮の建物が連なるが、画家は南方向を向き、中央に円形の池、そして彼方(かなた)に1900年の万国博覧会に向けて建設中のオルセー駅の工事の様子を描いている。本展に含まれる数多くの初来日作品のうちのひとつである。
本展に出品されるイスラエル博物館の印象派とポスト印象派のコレクションのうち、先行する日本国内の展覧会で公開された作品は、実に20年以上前に来日したことがあるゴーガンの逸品《ウパ ウパ(炎の踊り)》[作品6]などわずか10点のみ。出品作全69点中、モネの《睡蓮の池》やファン・ゴッホの《プロヴァンスの収穫期》[作品7]を含む59点が初来日である。わが国の印象派受容には長い歴史があるが、これほどまでに質の高いコレクションが、それもほとんどの作品がわが国で未公開のままであったことに驚かされる。
(三菱一号館美術館 上席学芸員 安井裕雄)
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【開催概要】
<会期>2021年10月15日(金)~2022年1月16日(日)
<会場>三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
<開館時間>10~18時(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21時まで)
※入館は閉館の30分前まで
<休館日>月曜日と年末年始の12月31日、2022年1月1日
※10/25・11/29・12/27・1/3・1/10は開館
<入館料・当日券>一般:1900円 高校・大学生:1000円 小・中学生:無料
※障害者手帳をお持ちの方は半額、付き添いの方1人まで無料
※新型コロナウィルス感染症の感染予防・拡大防止のため、各時間の入場人数に上限を設けています。
※諸事情により、会期や開館時間等について変更する場合がございます。ご来館の際は展覧会サイトをご確認ください。問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:三菱一号館美術館、イスラエル博物館(エルサレム)、産経新聞社
後援:イスラエル大使館
協賛:DNP 大日本印刷
協力:野崎印刷紙業
展覧会サイト https://mimt.jp/israel/
■音声ガイド
話題のアニメなどに多数出演歴を持つ人気声優、榎木淳弥さんが、温かく爽やかな語りで印象派の世界へといざないます。600円(税込み)
<主な出演作>「呪術廻戦」虎杖悠仁役、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」パンナコッタ・フーゴ役、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」ピーター・パーカー/スパイダーマン役(吹き替え)
■グッズ
イスラエル博物館から貴重な印象派のコレクション群が初めて一堂に会することを記念して、イスラエル発ライフスタイルブランドLaline(ラリン)より印象派の「水」と「光」をイメージした特別セットを販売。「オーシャン・ハンドクリアジェル(50ml)&ハンドクリーム(30g)」1675円(税込み)
<企画・制作>産経新聞社事業本部