サテーは東南アジア諸国で食べられていますが、マレーシアにおいても国民食で、我が社を代表するメニューでもあり、作り方がオンラインマニュアルにも細かく記載されているほどです。しかし興味深いのは、細かなマニュアルがあっても、作る人によって若干、美味しさに差があること。ベテランのクルーが作るときはいつもよりなんだか美味しそうだなぁと感じます。
海外に行かれる際は現地の航空会社を利用すると、その国独自の食事を食べることができるので、試しに利用してみるのもいいですよね。
日本人の国民性を感じる瞬間
サービスをしていて感じることの一つに、お客様によって国民性を感じる時があります。私にとってそれは、お食事のトレイを下げるときです。
CAは、食べ終わった一つ一つのトレイを素早く回収し、カートにしまっていかなければなりません。回収が終わってもしなければいけない仕事がたくさんあるので、もたもたしている暇はないのです。そんな忙しいときを助けてくれるのが、日本人のお客様です。
多くの日本人のお客様は、食べ終わったトレイを提供したときと同じ姿形で返してくれます。スムーズに回収できるだけでなく、日本人のマナーの良さも感じることができる瞬間でもあるのです。世界的に日本人のマナーの良さを賞賛されることがたくさんありますが、この当たり前に行っている習慣もその一つだと思っています。
宗教によってフライト内容も変わる
マレーシアはいくつかの宗教が混在する国です。私はその国をベースとしているので、一年を通して、時期により、また宗教によってフライト内容が少し変わるのです。
代表的なのは、ラマダン(日照から日没まで飲食を断つ)時期のフライトです。マレーシアは国民の大半がイスラム教徒です。このラマダン期間は、イスラム教徒のお客様には日が昇っている間の飲み物やお食事の提供はしないように言われています。事前にお声かけをすることを控えたり、日の出と日の入りの時間を調べてお客様に伝えたりしています。
これは一緒に働くイスラム教のクルーも同様で、私自身、理解を示すために、その方々の前で飲食はしないように気をつける配慮もしていました。
また、お祈りは一日に数回行われます。事前にお祈りする方角を確認しておいたり、お祈りする場所をすぐに案内できるよう準備もしていました。
入社するまでは全く知らないことだったので、実際にフライトを通して文化の違いを肌で感じることができました。
今回は、私の働く会社での機内サービスを中心にご紹介しました。初めて知ったこともあったのではないでしょうか?
CAの職に関わらずサービス業にはそれぞれ独自のサービス内容があります。受け手側からは気付きにくいことも、ちょっとだけ視点を変えてみると面白い発見に繋がってきますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
大瀧葵(おおたき・あおい)
岡山県出身。大学在学中にカナダへ1年間の留学を経験。新卒で日系航空会社に入社の後、現地ベースアジア系航空会社に転職し現在CA歴4年目。筋トレとヨガで体を鍛えることにハマっています。
【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。アーカイブはこちら