「ノーベル賞級の研究者が愛想をつかす国」から脱却 日本経済の鍵握るディープテック開拓に政府が本腰

もう1つはテクノロジー系の起業家輩出で勢いのある東京大学で、この10月から「M&A・IPOを見据えたディープテック起業実践演習」という大学院生を対象とした講座が開講されたというものです。元々技術に関する基礎体力は高い学生が多いので、

  • 顧客視点講義

によって製品化、収益化の意識が高まり、

  • スタートアップファイナンス講義

によってバックアップを得る手段に関する知見を得ることが期待されます。お金を出す側が制度的にリスクを減らしてもらうだけでなく、複雑な基礎研究に携わる研究者自身が事業計画の立案能力と製品化センスの向上によって、投資を呼び込めたり、お金を借りやすくなったりすると研究の勢いも増すかもしれません。

「研究者の根性と頑張り」に頼らない国へ

企業の本場アメリカでも、「既存事業の改善バージョンによる起業が増えすぎている」という傾向があります。 Zero to Oneのリスクの高いものは避けられがちであると同時に、そもそも非常に限られた能力を持つ人にしか携われないのかもしれません。投資を渋っている間に、せっかく日本にいる人材も研究成果ごと丸ごとほかの国に持っていかれてしまっているのはもったいないことですね。

「日本は技術力は世界ナンバーワンだ」と未だに思っている方も多いようですが、新型コロナウイルスのワクチンを海外企業に頼ったように全く手も足もでない分野は少なくありません。「国内需要がない」という理由で投資できなくなったツケが回ってき始めているのです。

それでも国際的にトップレベルの研究の芽がまだまだ多い方である日本のディープテックに対して、どれだけ長期的な視野で政治判断がなされていくのかは日本の今後の経済環境を左右する問題です。「研究者の根性と頑張り」だけでなく、環境整備が同じくらい報道され、注視されていくことを期待したいと思います。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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