アイデアを強制的に生み出す思考法 落合陽一氏と筑波大学の関係を「逆転」させると?

このコラムでも以前ご紹介した、「アイデアを強制的に生み出すフレームワーク」であるSCAMPER。復習すると、既存のアイデアを材料にして、

【S】代用する Substitute

【C】結合する Combine

【A】応用する Adapt

【M】変更する Modify

【P】転用する Put to other uses

【E】除去する Eliminate

【R】逆転させる Reverse

といった観点で既存のアイデアを加工してみることで新しいアイデアを生み出そうというものです。今回は、「【R】逆転させる Reverse」の面白い事例をご紹介します。

自治体向けプロポーザルの「逆」って?

11月30日に次のような記事を目にしました。

「災害発生時における減災に資する オペレーションの高度化」をテーマに企画募集を開始

記事の見出しから、災害対策事業について、「自治体」が「民間の知恵」を借りようとしているように思いませんでしたか?

実は違います。これは、人員配置・物流を得意とするキムラユニティー株式会社が、自治体を舞台にして実証実験をしたいと考え、「自治体を募集」しているのです。従来の関係と全く「逆」の関係です。キムラユニティー株式会社がお金を出し、自治体がアイデアを出すのです。

  • 自治体がアイデアによってお金を得て、「素早く実行する」ことができる

という点で自治体にとっては非常に価値のあるシステムです。なぜなら、「自治体の公金を何に使うか」を決めるのには厳しい審査が必要で、非常に時間がかかってしまうからです。その点で、このシステムは、良いアイデアを出してくれた自治体に対して、企業が「寄付」という形によって資金を提供することによって、そのお金を使ってスピーティーに実行に移すことができるのです。

企業側にとっては、もちろん自治体のリソースを使ったこれまでにない実験や事業を試すことができ、それをベースとしてさらに大きな公共事業へと広がる可能性があることも利点でしょう。

これは株式会社スカラが「逆プロポ」という事業として運営しています。新たな官民マッチングサービスですね。自治体が抱える課題の解決に民間企業がアイデアを提案するのが従来の流れです。逆プロポは、その従来の商売の流れを逆にし、企業が関心のある社会課題を提示し、自治体が企画やアイデアを提案します。一見無茶苦茶だなと思われるやり方でも需要と供給が存在したり、生まれたりすることがあるのだなと考えさせられました。

研究費確保に奔走する大学の「逆」って?

メディアアーティストの落合陽一さんが率いる筑波大学の落合研究室(デジタルネイチャー研究室)も同じように「逆」のアイデアで運営されている稀有な事例として紹介したいと思います。

日本の研究者が非常に資金的に苦労しているという話はご存知かと思います。彼らは外部の企業からの資金や公金からの研究費を求めて日々奔走しています。大学もお金はあまりないので研究者は授業もやり、研究もやり…という忙しさです。

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