歩いて在宅生活にリズムを “走る社長”が牽引するコロナ禍の健康経営

趣味のスポーツと仕事を両立するビジネスマンの日常生活にフォーカスする連載「ビジネスマンはアスリート」。第5回はアサヒ飲料(東京都墨田区)の社長で、ラン歴25年のマラソンランナーでもある米女(よねめ)太一さん(60)。日々の健康に寄り添う飲料メーカーの代表として自身の健康管理に努める一方、在宅勤務による社員の運動不足解消策として「歩いた歩数分に応じて飲料商品を社会に提供する」というユニークな取り組みを牽引(けんいん)している。「どんな状況でも心身のバランスをとるコツは生活のリズムを作ること。そのために会社ができることを考えたい」という米女さんに、健康経営の考え方について話を聞いた。

社員とともにウォーキングをするアサヒ飲料代表取締役社長の米女太一さん(アサヒ飲料提供)
社員とともにウォーキングをするアサヒ飲料代表取締役社長の米女太一さん(アサヒ飲料提供)

全社員で地球34周分

競争が激しい飲料業界でブームとなっている無糖炭酸水。新型コロナウイルス禍での「家飲み需要」の増加などでさらに大きく伸長する市場を牽引するのが、「ウィルキンソン」ブランドを擁するアサヒ飲料だ。環境への負荷を減らす「ラベルレスボトル」をEC販売で先駆けて導入するなど、業界の常識を覆すようなアイデアを生み出す“風土”があることでも知られる。

全社を挙げ、ユニークな健康活動にも取り組んでいる。「自分も、会社も、世の中も健康に」をモットーに、日常に取り入れやすい「歩く」ことに注力し、全社員に「スニーカー通勤」を推奨したり、ウォーキングイベントに協賛したりしている。

しかし、そんな地道な取り組みも新型コロナウイルス禍の影響で全てがストップ。勤務形態が在宅中心へとシフトし始めた2年前の12月、運動不足を感じている社員が全体の6割を超え、3人に1人が心身に変調を来している実態がアンケートから浮かび上がった。

そこで昨年4月に始まったのが健康づくりのための社内イベント「Walk for a smile」だ。約2800人いる社員一人ひとりが日々歩き、1万歩達成するごとに1本の飲み物を寄付する。自分の運動量(歩いた歩数)を可視化できるオリジナルのアプリを活用し、在宅ワークでの生活リズムを整える取り組みと社会貢献活動とを両立させた。

昨年11月までの8カ月間にわたって実施した結果、社員全員の歩数を合わせた総数は地球34周分に相当するといわれる約19億歩を達成。提供する飲料の数は19万本を超えた。

コロナ禍で血液が不足する赤十字血液センターに同社製品の『守る働く乳酸菌』L-92を3000本提供 (アサヒ飲料提供)

参加した社員は全体の8割に上り、その半数以上が「健康に対してポジティブな意識変化があった」と回答。実施後のアンケートには「在宅勤務のときは朝に散歩に出ることが日課になった」「歩いている間に考え事ができ、時間の有効活用にもなっている」といった声が寄せられるなど、運動の習慣化や業務効率の向上につなげることができたという。

こうした活動に対する社内のレスポンスの良さも社風のようで、社員同士がアプリ上で情報交換したり、歩数を競い合ったりと、それぞれの使い方で交流を楽しんでいる様子が見えてきた。

この結果について「歩いた歩数を聞いたときは驚きました。うちの社員もよく歩いたな」と驚きを隠せない米女さん。「何より社員が自主的に活用していることが嬉しい。やって良かったと思います」と手応えを感じている。

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