是か非か…保育園児のマスク着用 くすぶる異論

    新型コロナウイルス感染症対策をめぐり、厚生労働省が8日に示した保育所での児童に可能な範囲でマスクの着用を推奨するという方針に、安全性の観点から異論がくすぶっている。オミクロン株が猛威を振るう中、感染が拡大している子供への対策は急務であり、保育所休園による社会機能の低下を防ぐ狙いもある。ただ、保護者の目が届かない場所ということもあり、事故防止のためのきめ細かい対応が求められる。

    「可能な範囲で、子供や保護者の意図に反して無理強いすることがないように留意し、一時的にマスクの着用を推奨する」

    後藤茂之厚労相は8日の記者会見で、保育所の対策について、こう説明した。

    児童へのマスク着用の推奨は、政府の新型コロナ対策分科会が4日にまとめた提言を踏まえたもので、提言の原案では当初「2歳以上の児童」と明記していた。だが、分科会で「2歳児にマスクをしろというのは現実的に不可能」などの異論が出たため、年齢部分は削除した経緯がある。

    ただ、年齢を削除してもなお提言や今回の方針には「推奨」という言葉が盛り込まれており、与党内から疑問の声が上がる。

    小児科医でもある自民党の自見英子(はなこ)元厚労政務官は「無理強いすることがないよう留意してという条件はついているが、現場は『留意』という部分をどう読み込むのか。『原則行わなければならない』となった場合、現場に混乱が生じる」と指摘する。

    同時に「子供の嘔吐(おうと)は突然起こる。マスクをして気づかなければ、窒息死もあり得る」と警鐘を鳴らし、厚労省に詳細なガイドラインの作成を求める。

    親の目が届かない以上、感染対策は保育士ら職員に頼らざるを得ず、普段以上に児童に注意を払う必要が生じ、保育士の負担が増すことへの懸念もある。

    ある分科会メンバーは「リスクもあり、注意もしなければならないが、マスクの効果はある。やれる人はやったほうがいい。提言は適切だ」と理解を求めている。

    (今仲信博)


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