財界セミナー オンライン開催のあり方、一定の成果

    2年連続のオンライン開催となった関西財界セミナーは、運営側の手際が昨年より効率的になった上、参加者が自分の主張を補完する資料を表示して議論を深めることなども可能となり、「ウィズコロナ」での財界セミナー運営のあるべき形を一定程度示した。今後は実際に顔を合わせるメリットも生かすため、オンラインとリアルを組み合わせた〝ハイブリッド開催〟の手法も検討されそうだ。

    オンラインで開催された関西財界セミナーの分科会の初日=8日午後、大阪市北区のNCB会館(南雲都撮影)
    オンラインで開催された関西財界セミナーの分科会の初日=8日午後、大阪市北区のNCB会館(南雲都撮影)

    「通常の財界セミナーでは、長年参加する経営者らの存在感が大きく、新参者は、場にのまれる雰囲気がある。しかしオンラインで開催されたことで、皆同じ画面上で活発に議論を交わすことができた」

    企業と従業員のあり方を議論した第5分科会に参加した企業関係者は、こう率直にオンライン開催を評価した。別の参加者も「プレゼンテーション用のソフトウエアを使って発表できるなど、利点が少なくなかった」と指摘した。

    運営側にも熟達がみられた。

    財界セミナーを主催した関西経済連合会と関西経済同友会がオンライン開催への転換を発表したのは1月14日。本番まで1カ月を切っていた。

    しかし事務局は、複数の種類のソフトウエアで配信され参加者が混乱したなど昨年の問題点をすでに洗い出しており、今回はソフトを一本化するなど「経験を生かした」(事務局)。参加登録もオンラインのみで行っていたことなどから、「情報発信や資料配布などもスムーズだった」(同)という。

    当初、リアル開催を決めたのは「参加者からの強い要望があった」(関西同友会)ためだ。数百人の企業首脳が集まる財界セミナーは、議論するだけでなく、ビジネス上の付き合いのある企業経営者と直接あいさつしたり、終了後に会食して親交を深めるなどの利点があった。「コーヒー休憩中に、『あの意見はどうだった』などの話ができた。情報の交換は必要と思う」(関経連の松本正義会長)との意見は少なくない。「京都という古都で話ができることの魅力もある」(古市健・関西同友会代表幹事)などの意見もある。

    一方、「多忙な経営者らが2日間の日程を割き、京都にまで行くハードルは決して低くない」(参加者)ことも事実。今後も新型コロナウイルスとの〝共存〟が求められるとの見方がある中、日本総合研究所の若林厚仁・関西経済研究センター長は「今後、リアルとオンラインの双方の利点を取り入れた開催手法が定着するのではないか」との見通しを示した。(黒川信雄)


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