またAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)という仕組みを使い、ウェザーニューズ社が計測したデータを社外のウェブ開発者たちがインターネットで活用できるようにした。これらを研究などで利用するのは無料だが、営利目的の場合は同社に連絡してほしいとしている。
広報担当者は「花粉飛散量の情報は企業だけでなく医療機関の方も利用する。社会的に重要なことなので、幅広い形で利用してもらえるようにしたいという声が社内で高まっていた」と振り返った。今年の花粉飛散量の観測とデータの無料公開は6月頃まで続けられる予定だ。
「はなこさん」閲覧は年度末まで
民間企業にお株を奪われる格好になった環境省だが、昨年の春には「はなこさん」の公式サイトを作り直し、事業を継続する姿勢を見せていた。
従来の公式ページは、日本のインターネット黎明期の個人サイトを思わせる簡素なデザインで使い勝手も良くなかった。だが昨年登場した新しいサイトは、Google Chromeなどのモダンブラウザで閲覧することを前提としており、現在のネット利用の傾向に合わせてパソコンだけでなくスマートフォンでも使いやすくなっていた。
しかし、システムの切り替えが行われて新しいサイトが始動したのは昨年3月29日。上述の通り、環境省が花粉飛散量の情報を発信したのは同年5月までだ。“新はなこさん”がリアルタイムのデータ提供で活躍したのは約2カ月間ということになる。環境省大気環境課の担当者は「蓄積された過去の花粉飛散量のデータをダウンロードすることができるので、昨年の花粉シーズン以降も役に立ったのではないか」との見方を示している。
同サイトは21年度の予算で運用されているので、事業廃止で予算がつかない来年度には閲覧できなくなるという。また、大気環境課の担当者はウェザーニューズ社などの民間企業の取り組みは把握していると話し、民が官の受け皿の役割を担うことについて「良いことだと思う」と評価した。