はじめに
自己PRで「傾聴力」を伝えたい場合、どのようにアピールすれば効果的でしょうか。傾聴力は仕事においてとても大切であり、十分な自己PRになります。ただし、その伝え方を間違えてしまうと「ただの聞き上手」という印象で終わってしまいます。
では、履歴書や面接で「傾聴力があること」をしっかりアピールするにはどうすればいいのか、本記事では紹介していきましょう。
そもそも傾聴力とは?
そもそも傾聴力とは漢字のとおり、「相手の言葉に耳を傾けてしっかりと話を聞く」ことです。その中には、相手が話す言葉面だけを取るのではなく、その真意を考えたり本音を感じ取ることも含まれます。
人は自分以外の誰かに自分の話を肯定的に聞いてもらうだけで癒されるものです。メンタルクリニックやセラピーの場でも大切とされている傾聴力には、それだけ人の心を癒やす効果があるのです。
ビジネスで求められる傾聴力は?
ビジネスで求められる傾聴力は、基本的には先ほど解説した通りです。ただし、ビジネスの場では「相手の話を傾聴する」だけでは仕事が進まないことが多いでしょう。相手の話を傾聴しつつ「ではどうしたら自分は成長できるか」「自分はどんなキャリアビジョンを持っているか」など、その時のシーンに合わせて誘導していくスキルも必要です。
ビジネスにおける傾聴力に大切なことは、傾聴することで本人に気づきを与えたり仕事の成功に導いたりすることです。傾聴することがゴールではなく、傾聴することによって仕事が進んだり社員のモチベーションが上がったりすることが期待されています。
自己PRで傾聴力をアピールするポイント3つ
では、しっかりと面接などで傾聴力をアピールするためのポイントを紹介します。これから紹介する3つを意識するだけで単なる「聞き上手」という印象から、「傾聴力のある人」という印象に変わります。
1.なぜ傾聴力が身についたのかを伝える
まずは傾聴力をアピールすると同時に、自分の傾聴力が身についた理由を入れましょう。例えば前の職場で上司として多くの部下と話をしてきたことや、接客業でお客様の話を聞くことが多いことなどが挙げられます。なぜそれが身についたのか、自分の中でスキルアップするタイミングがあったはずです。
身についたきっかけを添えることで、より説得性が増し採用担当者の目に留まるようになります。無意識に仕事をしていても傾聴力は身につきません。傾聴力が身についていることは、仕事をしながらしっかり自己研鑽してきた証拠でもあるのです。その部分をきちんと採用担当者にアピールしましょう。
2.傾聴力を活かせたエピソードを交える
自身の傾聴力を活かしどんな成果があったのか、過去のエピソードも交えて話すようにしましょう。単に「私は傾聴力がある」とだけ言っても説得力がありません。具体的に自分が傾聴力を発揮してきたエピソードを添えることでより具体化され、採用担当者にとっても採用後のイメージが就きやすくなります。
3.仕事でどのように傾聴力を活かすのか伝える
今までの職場で傾聴力が活かされたとしても、新しい応募先企業で活かせないのでは意味がありません。その身につけた傾聴力を使って、今後応募先企業でどのように能力発揮をしたいのかをしっかりと伝えましょう。そうすることでより効果的に採用担当者の印象に残り、あなたを採用したらどんな風に会社が変わるか、といったイメージをしてもらいやすくなります。
自己PRで傾聴力をアピールする際の注意点3つ
履歴書や面接の自己PRで傾聴力をアピールする際には、次のような3つのことに注意しましょう。
1.他の応募者もアピールしている
「傾聴力」をアピールする人は、応募者の中にたくさんいます。つまり、しっかりとそれがアピールできる言葉で伝えないと他の応募者に埋もれてしまい、採用担当者の目にとどまらない可能性があります。
書類選考の段階では特に、採用担当者の印象に残ったもの勝ちといっても過言ではありません。「傾聴力を自己PRに持ってくること」は、競争率の高い自己PRを選択していることを理解しておきましょう。
ではどうすればいいのかというと、他の人との差別化が必要です。同じ「傾聴力」を自己PRに選んだ人の中で勝ち抜き、次の選考に進むためには他の人にはないエピソードや、応募先企業での活躍の仕方にいかにつなげるかにかかっています。
2.「傾聴力=相手の話を聞く」ではない
「傾聴力があること」と「相手の話を聞くのが上手」は全く違います。ですので、傾聴力のアピールで「相手の話を聞くのが得意だ」という方向に話をもっていくと、肝心の「傾聴力」をアピールできないで終わってしまうケースが多々あります。「傾聴力」と「相手の話を聞くのが上手」の双方の違いを理解しつつ、自分にはどれくらい傾聴力があるのかをアピールすることが大切です。
傾聴力をアピールしたいがために、「ただ話を聞いて相手を喜ばせてあげた」というようなアピールにとどまってしまうケースが散見されます。大切なのは「傾聴力があること」をアピールすることであり、その本来の目的を忘れないようにしましょう。
3.面接の際にも傾聴力がある振る舞いを
「自分は傾聴力がある」とアピールしているのに、面接で自分のペースで話を進めすぎてしまうと「本当に傾聴力があるのか?」と疑問に思われてしまいかねません。面接の場でも「本当に傾聴力があるのか、それはどれくらいのスキルか」を見られていることを意識しましょう。しっかり面接官の話を聞き、面接官が言った言葉の本質を見抜けるよう落ち着いて面接に挑みましょう。
傾聴力をアピールした自己PRの例文
傾聴力をアピールするには具体的にどのように自己PRを書けばいいのか、例文を紹介していきます。
例文1
「私は以前の職場で新人担当をしておりました。新人職員には1ヵ月に1回個別面談を行い、「今どんな心境か・仕事の覚えはどうか」などを聞いてきました。しかし、社会人としてまだ日が浅い職員の中には、うまく自分の状況を話せない方もいます。
そのため私は、職員が発する言葉や表現の仕方で悩んでいるのか、不満があるのかなどを計るようにしてきました。職員の話を単純に聞いているように見せながら、その本音や問題となっていることの本質を話してもらえるよう誘導するようにしています。
「AじゃなくてBをしたかったのに上手くいかなかったんだね」「どうしたらBができたと思う?」という風にオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けに気を付け、相手が「話したくなる」ような面談を意識してきました。その結果、私は部下を自分の立場を俯瞰しつつ客観的な意見を述べられる人材に育成できました。」
例文2
「私は以前、美容部門で接客業をしていました。お客様の中には、ストレートに悩みを伝えてくれる人ばかりではありません。特に美容に関してはコンプレックスを持っている方も多いため、ダイレクトに聞くのは避け、まずは世間話をしたり、逆に私自身の悩みをさらけ出したりしました。
それにより相手の方が話しやすい雰囲気作りができ、多くのお客様から悩みを打ち明けてもらえるようになりました。悩みが分かれば、それに対応できる商品を紹介できます。結果的に売り上げアップにもつなげられました。」
まとめ
「傾聴力」はどのような職場でも必要なスキルです。ただし、それを自己PRに選ぶ人が多いのもまた事実。その中で次の選考に進むには、どれほどの傾聴力があるのか実績をアピールすることや、実際に成果を上げたエピソードが要になります。自分の今までの経験を思い出し、うまく「傾聴力があること」をアピールしていきましょう。