はじめに
エンジニアの仕事は、企業の根幹となるシステム開発や運用を担ったり、多くの人が必要とするインターネットといったインフラに関わったりととてもやりがいがあるもの。しかし一方で、「エンジニアとして別の会社に転職したい」と思うこともあるでしょう。
今回は、エンジニアが転職を決意する理由、転職成功のポイント、気をつけたいポイントについて解説します。
エンジニアが転職を決意する5つの理由
ここでは、エンジニアが転職を決意する理由を5つ紹介します。転職理由は後の転職活動における面接でも必ず確認される事柄のため、なぜ転職したいのか、その理由をしっかりと自覚しておくべきです。
1.給料に不満がある
エンジニアは、深い専門知識や熟練したスキルに加え、ときに長時間の勤務を必要とされる職業です。しかし一方で、「求められる業務の割に給料が少ない」と感じる人も少なくありません。
エンジニアの仕事の成果は、たとえば「営業職」のように、売上といった利益として可視化しづらいものです。そのため、「仕事量に見合った給料が受け取れていないのでは?」と不満を抱きやすい傾向にあるのです。
2.評価に不満がある
給料と同じく、評価に対する不満もエンジニアが転職を決意するきっかけとなる場合があります。エンジニア職は個人のタスクが明確に分かれているケースが多い一方、成果そのものを可視化するのが難しく、企業によってはあいまいな評価基準で評価されてしまうパターンも多いのです。
その結果、「自分の仕事が正当に評価されていない」「適切な評価を受けられないなら仕事をしていても意味がない」と、業務に対する意欲の低下や転職の意思が強まる可能性が高まります。
3.会社の将来性に不安がある
エンジニア職は一般的に、イメージされるIT業界に限らず、さまざまな業界や業種においてニーズが高く重宝される職種です。
しかし、たとえエンジニアが活躍する業界や業種全体が好調で安定していたとしても、企業自体の業績も同じく好調とは限りません。そのため、「この会社で仕事を続けても大丈夫だろうか」と不安を感じ転職に舵を切るエンジニアも少なくないのです。
最初に述べたとおり、エンジニア職を求める業界は多くあります。そのため、将来に不安がある会社で働き続けるよりも、業績が良い別の会社でまたエンジニアとして働きたいと考える傾向にあります。
4.勤務時間・休日など働き方に不満がある
エンジニアが受け持つ仕事は専門性が高く、必要とされるスキルも多いため、他の職種の人が業務を肩代わりするのは困難です。そのため、トラブルなど、常に高度な対応が迫られ、休日であってもエンジニア自身が対応せざるを得ない場合も多いでしょう。
また、仮に企業内に休日の規定があっても、エンジニアの職務内容によっては「休日は仕事に備えた待機時間」とされるケースも珍しくありません。これらの拘束時間の長さや自身のプライベートの確保の難しさ、希望するライフスタイルが実現できないという理由から転職を決意する方もいるようです。
5.仕事内容に不満がある
エンジニアと一言でいっても、その仕事内容や役割は多岐にわたります。そのため、たとえ希望通りにエンジニアとして就職しても、その仕事内容が自分の希望に沿っていない場合があるのです。
たとえば、システム構築や組み込みを担当している一方で、ネットやセキュリティなどインフラ系の部門を専門にする場合もあるでしょう。さらに機械設備の設計や整備など、同じエンジニア職でもその仕事内容は分野、部署によって大きく変わります。
そのため、本来希望していない業務を続ける中で「本当は〇〇の仕事がしたかったのにできていない」と不満が募った結果、転職を検討するようです。
エンジニアが転職活動を成功させるためのポイント2つ
ここからは、エンジニアが転職活動を成功させるためのポイントを2つ解説します。
1.企業が求めているスキルタイプやレベルを確認する
転職活動を成功させるためには、志望する企業と自身のスキルやレベルを擦り合わせておきましょう。同じエンジニア職の募集でも、企業によって求めている人材は千差万別です。
業務への志望度や必要なスキルの合致ももちろんですが、たとえば、将来的にチームのリーダーや管理職として両立した活躍を求めている企業があります。その一方で、日々やるべき仕事を確実にこなし続けるエンジニアとして、優れた技術者のみを求めている企業もあるでしょう。
前者の場合は、エンジニアとしてのスキルに加えてコミュニケーション能力も必要ですし、後者ではより高いレベルの技術が不可欠です。「エンジニアとしての自身のレベル」と、「企業が求めている能力を持っているかどうか」の見極めが、企業と志望者とのミスマッチを防ぎ、双方納得のいく選考につながります。
2.キャリアパスを明確に
転職活動の際は、自身が将来的にどんな経験やスキルを積み上げていきたいのか、そのキャリアパス(将来像への道筋)を明確にしておく必要があるでしょう。
「この会社でエンジニアとして〇〇のスキルを積みたい」「将来的には△△の仕事がしたい」などの目標があいまいでは、選考でも苦戦しやすくなる傾向があります。キャリアパスの設定不足はときに意欲不足にも見えてしまい、選考でも採用担当者が志望者が自社で活躍しているイメージを掴みにくく、高評価につながらないためです。
重要なのは、転職をして何がしたいのか、将来どうなりたいのかを現実的かつ具体的に定めること。明確なキャリアパスという軸ができることで、活動がスムーズに進みやすくなります。
エンジニアが転職活動でつまずきやすいポイント2つ
ここでは、転職活動でつまずきがちなポイントを2つ紹介します。あらかじめ対策を立てて、活動が順調に行えるよう備えておきましょう。
1.スキルはあるが面接に苦手意識を持っている
エンジニアが転職活動でつまずきやすいポイントのひとつに、「面接への苦手意識」が挙げられます。面接を行うのは、IT知識の深い現場の社員ではなく、採用担当の人事社員であることが多いでしょう。そのため、「自身のスキルがきちんとエンジニアとして評価されるだろうか」という不安から面接が苦手と感じやすいようです。
面接の場にITに詳しい現場の責任者などが同席していればスキルも評価されやすいですが、全ての面接がそうとは限りません。そのため、面接では自身のスキルや経験を伝えるとともに、「自己PR」にも力を入れてみましょう。
企業の人事担当は「自社で長期的に働いてくれる人材」を求めています。自身が志望企業に入社して何がしたいのか、中期、長期にわたる将来ビジョンを交えて自身の強みをPRするとよいでしょう。IT知識に浅い社員が面接官であっても、志望者自身の魅力が伝わりやすくなります。
2.自分のITスキルを可視化できていない
転職活動では、採用企業に自身のITスキルを明確に示す必要があります。スキルの提示が不十分では、選考でも自身の強みが伝わらず、活動が難航してしまう可能性があります。エンジニアは属する業界や業種によって仕事内容が多様であり、「エンジニアをしていました」だけでは、企業側は本人が具体的に何ができるのか把握できません。
そのため、転職活動ではエンジニアとしてどのようなスキルを持っていて何ができるのか、自分自身できちんと把握し説明しましょう。経験した業務やプロジェクト、身に付けたスキルを示せば志望者自身の強みが伝わりやすくなり、企業側も自社と志望者のマッチ度を測れます。
まとめ
エンジニア職は、さまざまな業界や業種でのニーズが高い職業のひとつであり、転職業界でも売り手市場になりやすい職種でもあります。転職活動で大切なのは、自身の目指すキャリアを明確にすることと、持っているITスキルや知識を自覚した上で臨むことです。
自身の能力や将来像と擦り合わせながら、志望する企業への就職や、やりたい仕事の実現を目指していきましょう。