外環道掘削工事一部区間の中止命じる決定 東京地裁

    関越自動車道や東名高速道路などを地下トンネルでつなぐ東京外かく環状道路(外環道)の掘削工事をめぐり、東京都内の住民13人が国や東日本高速道路などに工事の差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京地裁(目代=もくだい=真理裁判長)は28日、一部区間の工事差し止めを命じる決定をした。

    外環道は、東京都心から約15キロの地点を環状に結ぶ高速道路。関越道側と東名側のジャンクションを結ぶ約16キロの区間が未開通で、深さ40メートル以上の「大深度地下」を、シールドマシンと呼ばれる大型機械で掘り進める計画となっている。

    だが令和2年10月、調布市の住宅街で掘削ルート上の道路が陥没する事故が発生。関越道側と東名側の双方から進められていた工事はすべて中止され、今年2月25日から関越道側の工事が再開していた。

    決定理由で目代裁判長は、陥没事故について「表層部が薄いなどの特殊な地盤条件下で発生した」と認定。仮処分を申し立てた住民の一人は事故現場から約30メートルの場所に住んでおり、有効な対策をとらずに工事を再開すれば「陥没などを生じさせる具体的な恐れがあると一応認められる」と指摘した。

    その上で、東名側の工事について「公共性などを考慮しても、差し止めを相当とする違法性が認められる」と結論付けた。

    住民側は区間内のすべての工事の差し止めを求めていたが、地裁は関越道側の工事などについては「具体的な危険性が認められない」として訴えを退けた。

    決定を受け、都内で会見した原告の一人、丸山重威(しげたけ)さん(80)は「事業者側には裁判所の決定を重く受け止め、全部の工事を再検討してほしい」と訴えた。東日本高速道路と国土交通省は「今後、決定の内容をよく確認し、関係機関と調整の上、適切に対応していきたい」とコメントした。


    Recommend

    Biz Plus

    Recommend

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)