林外相、中露の協調「安保上の懸念」 侵攻前収録

    林芳正外相は2日、日本国際問題研究所がオンライン形式で開いた会合で講演し、中国とロシアによる軍事面での協調について「安全保障上の懸念を呼び起こす動きを見せている」と警戒する見方を示した。講演はロシアがウクライナに侵攻する前の2月17日に収録。「ロシアとの間で安定的な関係を構築することも重要」と述べた。

    林芳正外相(杉本康士撮影)
    林芳正外相(杉本康士撮影)

    林氏は、中国に関し「既存の秩序とは異なる、自国に有利な国際秩序の形成を追求するようになっている」と指摘。東・南シナ海における一方的な現状変更の試みなどについて懸念を表明するとともに、軍事演習などで「中国とロシアとの協調姿勢は顕著になっている」と述べた。

    ただ、「中国を日米とは異質なものとして、その実像から目を背けることも、日本がとるべきアプローチではないことは明らかだ」と強調。今年が国交正常化50年を迎える中で「建設的かつ安定的な日中関係の構築を目指す」とした。

    一方、米国に関しては「圧倒的な政治力、経済力、軍事力により指導力を発揮し、単独で国際社会の安定と繁栄を支えるという時代でもなくなった」とも述べ、米国の国力の相対的な低下を明確に認めた。

    追求する外交アプローチについて、自身が所属する自民党岸田派(宏池会)の大平正芳元首相が提唱した「楕円(だえん)の論理」にならい「楕円の外交」と命名。地球環境保護と経済活動など矛盾する課題をまとめる外交を目指すとした。


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