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ウクライナ危機でデジタル暗号技術の活用進む 仮想通貨での資金調達やフェイクニュース対策

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を契機に暗号資産(仮想通貨)などのデジタル暗号技術が改めて世界で注目されている。対露金融制裁の「抜け穴」の決済手段となる懸念が指摘される一方、インターネットで迅速に資金調達や国際送金ができる利便性や改竄(かいざん)されにくい特徴から、ウクライナへの支援金集めや報道機関のフェイクニュース対策などに一役買うなど活用の動きが広がっている。

このデジタル暗号技術は「ブロックチェーン」と呼ばれる仕組み。多数の参加者が同一のデータを共有しながら取引履歴を1本の鎖のようにつなげる。参加者の一部がサイバー攻撃を受けても、ほかの参加者が保存しているデータで修復できるため改竄が困難な点が特徴で、不正送金防止のための手続きが必要な通常の国際送金よりも送金も簡単に行えるという。

こうした利点が危機に直面するウクライナへの迅速な人道支援などに役だっており、ウクライナ政府は代表的な仮想通貨「ビットコイン」などで数千万ドルの寄付を集めたとされる。

また、ブロックチェーンは仮想通貨取引のほか、デジタルデータの写真や絵などが一点ものであることを証明できる「非代替性トークン(NFT)」の基幹技術となっている。デジタルアートは1枚数億円で取引されることもあり、ウクライナ支援に収益を寄付する目的で、NFTを使ったデジタル作品を販売する動きも世界の芸術家に広がりをみせている。

さらに、ドイツのスタートアップ企業「アルウィーブ」はウクライナ危機に関するニュースや画像データなどをブロックチェーン上で保存し、重要なニュースや証言が改竄・削除されないようにするなど、フェイクニュース対策への応用も進む。

ただ、技術への過信は禁物だ。仮想通貨は送金先も記録されるが、その送金先の情報が正しいものとはかぎらないからだ。

ブロックチェーンに詳しい早稲田大大学院の斉藤賢爾教授は「送金先のアドレスが正しいものかどうかの証明が必要だが、透明性は十分とはいえない」と警鐘を鳴らす。

デジタル暗号技術はロシアも利用できることにも注意が必要だ。日米欧の金融制裁でロシアの一部銀行が国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から締め出され、暴落したルーブルに代わる国際決済手段などで利用しているとの見方もある。

もっとも、斉藤教授は「今の暗号技術が陳腐化して将来破られかねないのに対し、ブロックチェーンはシステムを更新しながら信頼性を維持できる余地がある。(ウクライナで何が起こったのか)長期的な事実検証への利用可能性がある」と、ブロックチェーンの有益性を指摘している。

(高木克聡)


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