雇用保険に関する「お知らせ」が届いたら追加給付がもらえる? 追加給付について解説

はじめに

過去に雇用保険からの各種手当を受け取った方の中には、ある日厚生労働省から「雇用保険に関するお知らせ」という手紙が届いたことがある方もいるのではないでしょうか?

受給していた時期がかなり前の場合であっても届くことがあるこの「お知らせ」、実は過去の手当の追加給付に関係している場合があるのです。そこで今回は、雇用保険の追加給付について解説します。

過少給付による雇用保険の追加給付について

※画像はイメージです(GettyImages)
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皆さんは、雇用保険の「過少給付」、および「追加給付」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。2004年(平成16年)の8月以降、失業後の基本手当や就業・再就職手当、教育訓練支援給付金など、雇用保険の給付制度を活用した方もいるでしょう。しかし、その一部の方々は、「本来受け取れるはずの金額よりも少ない額しか給付されていない」可能性があるのです。

厚生労働省は、この本来支給されるべき給付が不足していた事態を解消するため、過少となった時期をさかのぼり、正しい金額との差額を追加で支給すると決定しています。これを「追加給付」と呼び、2019年の3月以降から、全国の過去の受給者、および現在の受給者を対象に給付を開始しているのです。

過少給付が起きた原因は?

過少給付が起こってしまった原因は、定期的に行われている「毎月勤労統計調査」が不適切に取り扱われていたためとされています。この調査は、国内全ての事業所の従業員(雇用者)の数や給与、労働時間に関して、毎月の状況だけでなくいつ増えていつ減ったのかに至るまでを明らかにするためのものです。

しかしこの調査が、実は2004年以降から、公表されている調査方法とは間違った方法で行われていたことが判明しました。そのため調査結果も正しいものではなくなり、2004年から先の調査において、事業所の賃金額が本来よりも低い結果となってしまったのです。

その結果、このデータを元に給付金額を算定している雇用保険や労災保険、助成金などさまざまな給付金制度においても、「本来の金額とは異なる過少の給付金額」が算出されてしまったのです。

雇用保険の追加給付の対象者は?

追加給付の対象となるのは、先ほども触れたように2004年(平成16年)以降に一部を除いた各種手当、給付金の受給制度を活用し、本来よりも少ない受給額を受け取った方が当てはまります。以下は、対象となる手当の一例です。

【対象となり得る可能性のある給付制度の一例】

・基本手当(失業手当)や特例一時金、高年齢求職者給付

・就職促進給付

・育児もしくは介護休業給付

・教育訓練支援給付金 など

上記はあくまで一例であり、対象となる給付制度は多岐にわたります。そして、追加給付の対象者となる方には、厚生労働省が追加給付に関する「お知らせ」を送付します。この「お知らせ」の詳細について、より詳しく説明します。

追加給付の対象の場合「お知らせ」が届く

対象となった方には、自宅に宛てて「お知らせ」が届くのは先ほども説明した通りです。このお知らせは主に色付きの封筒で郵送され、対象者によってその色が異なります。それぞれの封筒の色と意味については、以下の通りです。

【封筒の各色と意味】

・黄色

すでに厚生労働省側で、「受け取った本人の住所などの基本情報が判明しており、追加給付の支給が決定している」場合にこの色の封書が届きます。

・水色

水色は、「決定ではないが、追加給付を受けられる可能性のある対象者」宛ての封書です。職業安定所(ハローワーク)に登録済みの住所と住民基本台帳に記載の住所が不一致である、もしくは過去の給付においてオンラインで申請したため住所の登録をしていなかった場合が該当します。また、対象者に同姓同名、同生年月日の者がいる場合も水色となるようです。

・緑色

追加給付に関する「お知らせ」は対象者本人だけではなく、「対象者本人が手続き以前、または途中で死亡した場合」にも、遺族に対して追加給付の申請を求める書類が届きます。その際に届くのが、この緑色となるのです。

対象なのに「お知らせ」が届かない場合は?

※画像はイメージです(GettyImages)

「自分も対象者のはずなのに、お知らせが届かない」という場合、調査や「お知らせ」が郵送されるのに時間がかかっているなどさまざまな理由が考えられます。また、以下のような原因がある場合も。

・2010年(平成22年)の10月4日以降に氏名を変更した

・住民票に記載されているのと違う場所に、一時的に滞在している

・海外転出届を出したため、住民票が無い場合 など

これらに合致する場合や対象者である可能性に心当たりがある場合、別途「追加給付に関わる住所等の登録フォーム」や、追加給付の問い合わせ専用ダイアルが設置されています。そのため、もし心当たりがあれば利用するとよいでしょう。該当者の場合、手続きや受給に進める可能性があります。

いくらもらえる? 追加給付の計算方法

「追加で給付金がもらえるのはわかったけど、いくらぐらいもらえるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。追加分の給付に関する計算式は、以下のように考えられています。

「手当(この場合は基本手当)の日額」の給付率が、給付率の算出に使用する「毎月勤労統計調査」のデータの誤りによって過少となり、それが日額にも影響を与えてしまったのが今回の原因です。よって、本来の正しい給付率と誤った給付率の差額を求める必要があり、その計算式は以下となります。

再計算後の上限額(Cとする)−以前の上限額(Bとする)×過去給付を受けた実際の日数

ただ、この計算式は対象者本人が自身で計算するのが少々難解です。そのため、厚生労働省のホームページでは基本情報を入力することで「自身の追加給付額」を簡易的に計算できるツールが用意されています。

また、受給した時期や手当の種類によって変動しますが、1人あたり平均「約1,300円」とも発表されています。そのため、申請の際はこの金額に留意しておくとよいでしょう。

追加給付を受けるための手続方法

給付を受けるための手続きは、基本的に届いた「お知らせ」に同封されている申請書類に必要事項を記入の上、同じく同封の返信用封筒で送れば完了です。ただ、届いた封筒の「色」によっては、書類上で確認すべき内容や記入項目が少し異なるため注意しましょう。

たとえば、黄色の封筒の場合は記載情報に間違いがないことを確認し、振込先口座の指定などを記入します。一方水色の封筒の場合は、本人の基本情報にくわえて、手当の「受給履歴」も正しいものかどうかの確認が必要です。

履歴に心当たりがあれば別途本人確認用の「回答票」に必要事項を記入しますが、この際雇用保険の被保険者番号、過去3つまでさかのぼった勤務先、振込口座や電話番号などが求められます。そして、主に対象者本人の遺族が対象となる緑色の封筒については、対象者の情報の確認および同封の「未支給失業等給付請求書(追加給付)」の書類に記入、返送が必要です。

いずれの書類であっても、正しい情報が記載されているかきちんと確認すること、そして求められた項目を正確に記入することが、迅速な手続きや受給にとって重要と言えるでしょう。

雇用保険の追加給付に期限はある?

追加給付の申請や受け取り、必要書類の返送には、特段明確な期限は設けられていません。そのため、給付も期限はないと考えてもよいでしょう。

ただ、この給付金は、本来であれば過去の受給において支払われるはずであったものです。そのため、不足分をきちんと受け取り現在発生してしまっている不利益を解消するという観点でも、できるかぎりすみやかに書類の返送、および手続きを行って欲しいと厚生労働省は述べています。よって、期限がなくとも、可能であれば早めに手続きを行うとよいでしょう。

まとめ

今回は、雇用保険の追加給付について解説しました。給付を受け取っていた時期からかなりの時間が経っている方などは、突然の「お知らせ」に驚き不審に思ってしまう方もいるようです。

しかし、追加給付は本来受け取れるはずだった不足分を受け取れる大切な制度です。そのため、お知らせが届いた際は中身をしっかりと確認し、手続きを行いましょう。

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