会社都合で辞めたのに離職票の退職理由が違う? 理由の違いが及ぼす影響を解説

はじめに

会社員として働いていると、ときにリストラや倒産など、会社の都合によって退職を余儀なくされることもあるでしょう。ただ、辞職理由が会社側にあるにもかかわらず、自己都合と処理されてしまうケースがまれに発生するのはご存知でしょうか?

そこで今回は、退職理由がどのような影響を及ぼすのか、そして退職理由が異なる場合はどうすべきなのかを解説します。

「会社都合退職」と「自己都合退職」の違いは?

※画像はイメージです(Getty Images)
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まずは、それぞれ理由の違いについて解説します。退職理由は失業後の各手続きにおいて重視されることが多く、基本的に「会社都合」と「自己都合」のふたつに分けられます。判断の基準となるのは、主に以下の通りです。

【会社都合とみなされる理由の一例】

  • 破産や銀行との取引停止による会社の倒産に伴った退職や解雇
  • 経営難を理由にしたリストラを受けた場合
  • 解雇による退職(普通解雇の他、事業所が潰れたなどの廃止・撤退による解雇)
  • 希望退職制度を利用した場合
  • 雇用時に交わした仕事内容と実際の業務が異なっていた場合の辞職
  • いじめなどのトラブルや給与未払い、残業時間の超過など本人の意思とは関係のない理由によるもの など

【自己都合とみなされる理由の一例】

  • キャリアアップなどを動機にした転職や現状の不満解消を求めるための退職
  • 病気やケガ、育児、介護といった家庭の事情によるもの
  • 結婚や転居などの個人のライフイベントを理由にした退職
  • 違反行為などを理由にした懲戒解雇 など

▼会社都合か自己都合か最終的に判断するのは誰?

書類に記載されている退職の理由がどうであっても、それが会社都合・自身の都合、どちらによるものかを最終的に判断するのは、「ハローワーク」であると言えるでしょう。

これは、失業後の手当を受け取るにあたり、申請者の離職票を確認し給付の可否などの認定を行うのがハローワークであるためです。よって、たとえば書類に「自己都合」と書かれていたとしても、退職者本人の申し出や参考資料を用いた調査の結果、ときにハローワーク側で退職理由が変更される可能性もゼロではないのです。

「会社都合退職」か「自己都合退職」かで影響すること

「退職した理由が違うだけで、会社を辞めること自体は同じなのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、実は理由の違いによってさまざまな面で影響が出る場合も。ここでは、辞めた理由が退職後に及ぼす影響について紹介します。

▼基本手当(失業手当)

まずもっともわかりやすいのが、「基本手当(失業手当)」の手続きや受給と言えるでしょう。辞めた理由によって、手当を受け取れるまでの期間や金額、給付期間に大きな差が出るケースが多いためです。

自身の都合による退職では、手続きを行っても実際に受給できるようになるまでは3カ月近くかかるケースが多く、給付期間についても、同条件で会社都合と比べると短く設定されています。

そのため、受け取る金額も短くなりやすいのです。一方で、会社都合による退職の場合は、1週間の待期期間の後すぐに受給が開始される他、給付期間も長く設定されているため、金額もその分多くなる傾向にあります。

▼退職金

退職の理由は、ときに「退職金」の金額にも影響をおよぼします。退職金が満額支給される、もしくは増額、減額の判断が、退職理由によって決められる場合があるためです。

たとえば、一身上や諸般といった自分の意思で辞める場合、勤務年数も影響しますが、その理由によっては減額されてしまう可能性があるのです。対して会社の都合で職を辞する場合は、満額支給、もしくは同時期に自己都合で辞める場合と比べると多めに退職金を支給されるケースがあります。

もちろん、退職金は会社の規則によって定められているため一概には言えない場合も多く、退職前にしっかりと規則を確認しておく必要があると言えるでしょう。

▼国民健康保険

国民健康保険の「保険料の支払い」についても、退職理由が大きく反映されています。会社を辞めた後は、退職者は自身で国民健康保険料を支払わねばなりません。しかし、会社都合の場合は、支払いの義務は一般の退職者と同様ですが、自治体によって変動するものの、最大で2年間にわたり保険料を大きく軽減してもらうことが可能です。

一般的に、国民健康保険料は前年の収入(所得)を元に計算しますが、会社都合の場合はこの収入の項目が満額ではなく「30/100」で計算されます。そのため、一般的な退職と比べると負担する金額がかなり少なくなると言えるのです。

▼転職活動

転職活動に臨む場合、退職理由を伝えるのは避けては通れないことのひとつ。そのため、履歴書や職務経歴書、面接において「一身上の都合」や「会社都合」など、退職の理由について触れる場合もあるでしょう。その際、その理由が選考の評価に少なからず影響する可能性があるのです。

たとえば、倒産や経営不振など本人の意思ではどうにもならない理由の場合は問題になることは少ないと言えます。しかしその一方で、トラブルによる「普通解雇」や「退職を勧奨された」というケースでの会社都合退職の場合、企業によっては「本人に何か問題があったのでは」と受け取られかねないのです。

そのため、転職活動においては自己都合や一部の会社都合退職と比べると、より念入りに面接や選考を進めなければならないため、デメリットと感じる可能性が高くなると言えるでしょう。

離職理由は離職票で確認できる

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「退職の理由がいろいろなことに影響するのはわかったけれど、自分の退職理由がどんな内容で処理されたのかわかる方法はあるの?」と気になる方もいるでしょう。自身がどのような理由で辞めたと処理されたのかについては、実は離職票にて確認が可能です。

離職票は「-1」「-2」のふたつに分かれており、それぞれ記載されている内容が異なります。退職者が会社を辞めた理由は、このうち「-2」の事業主記入欄の項目に記載されています。この書類は、会社側が作成後、退職者本人に退職理由をはじめとした記載内容に誤りがないかどうかを確認の上、署名および押印を受けるべきものです。

そのため、後から「理由が間違っている」とならないよう、その時点でしっかり正しい理由が記載されているか確かめておくべきでしょう。

離職票の離職理由を自己都合から会社都合に変更できる?

「書類の退職理由が、本当の理由と異なっている」「会社都合で辞めたにもかかわらず自己都合にされている」など、ときに本来の退職理由とは違う内容が記載されていることも。そのようなケースでも、ハローワークに相談する、もしくは申し出ることで退職の理由を変更できる可能性があります。

たとえば、長時間残業が原因の退職や業務内容と雇用契約の相違による自主退職、雇い止めにより会社を辞めたなど、会社都合に該当するにもかかわらず「自己都合」として処理されるケースが存在します。

この場合、退職者からの申し出やタイムカード、雇用契約書の写しといった客観的な証拠を元にハローワークが調査、判断を行い、最終的に「会社都合での退職」と認められた場合に、自己都合から会社都合へ変更されることも。

そのため、もしも退職理由が会社により変更されるかも、という懸念がある理由で退職を考えているならば、在籍中から証拠となるデータや書類のコピーなどを確保しておくと安心と言えるでしょう。

まとめ

今回は、退職時の理由の違いが及ぼすさまざまな影響について解説しました。「会社を辞めることに変わりはないから」とつい軽視してしまうかもしれませんが、退職理由によっては基本手当や国民健康保険料など、退職後の生活に関わるさまざまな制度に影響が出ることも。

そのため、書類に記載する退職理由は必ず正しいことをしっかり確認しておくことが大切です。

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