ランクル級の踏破性とリムジン並の乗り心地
あくまで悪路走破性が最大の特徴でありながら、オンロードでも操縦性に不満は少ない。おそらく日本では、東京都内の街中を優雅にクルーズする富裕層を見掛けることになるのだろう。その要求にも応えるに十分な優しい乗り味が込められているのも特徴だ。オンロード性能を整えづらいラダーフレームだというのに、よくぞここまで上質な走り味を作り込んだものだと感心する。
エンジンは先代のV型8気筒5.7リッターNAから、V型6気筒3.5リッターツインターボに載せ替えられた。最高出力は375psから415psに強化され、最大トルクも600N・mから650N・mに増強されている。
丸太を低速で乗り越えたり、岩を乗り越えたりといった微低速の踏破には、アイドリング+αの極低回転域の強靭なトルクが欠かせない。大排気量でかつNAてあることが有利なそんな場面でも、実に力強いのである。ダウンサイジングによるデメリットや、ターボ過給化によるドライバビリティの悪さは微塵も感じなかった。
むしろ、トルクが力強さを増していながら、高速域では燃費を稼ぐ。新規のエンジンと10速ATの組み合わせもいい。
オイルマネーに溢れた中東のユーザーにとってLXは理想的なSUVに映るに違いない。ランドクルーザー級の踏破性と、リムジン並の乗り心地を両立させているのだから…。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。