銭湯楽しむ「御所まち」ホテル、今秋開業

    江戸時代の商家町の面影を残す御所市の旧市街地エリア「御所まち」で、廃業した銭湯を中心に4つの古い建物を整備して活用するプロジェクトが、地元の酒蔵などでつくるまちづくり会社によって進められている。「まち」そのものに泊まる感覚を楽しめる宿泊施設「GOSE SENTO HOTEL」として今秋に開業する予定だ。

    改修工事がすすむ「宝湯」。新たにサウナを設置する=奈良県御所市
    改修工事がすすむ「宝湯」。新たにサウナを設置する=奈良県御所市
    宿泊棟として改修される旧万年筆店(御所まちづくり提供)
    宿泊棟として改修される旧万年筆店(御所まちづくり提供)

    かつての活気を失っている御所まちを再生しようと、「風の森」ブランドで知られる油長酒造(御所市)、せっけんやスキンケア商品を製造販売するフェニックス(同)、古民家再生のノウハウをもつNOTE奈良(奈良市)-の3社が「株式会社御所まちづくり」を設立し、プロジェクトを進めている。

    旧陣屋町の風情を残す「御所まち」(御所まちづくり提供)
    旧陣屋町の風情を残す「御所まち」(御所まちづくり提供)

    御所まちは、江戸時代初期に形成された陣屋町で歴史的建造物が多く現存し、江戸時代の検地絵図が今も使えるほど近世の区割りが残っている。昭和の香りも色濃く残っており、昔ながらのレトロな町並みや歴史的な情緒を引き出すのがプロジェクトの狙いだ。

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    葛城山系のふもとに位置する御所まちとその周辺は、水が豊富で、油長酒造など老舗の酒蔵やしょうゆ蔵などが点在している。修験道の祖・役行者の出生地とされる吉祥草寺の境内には産湯の井戸もある。

    そうした風土や歴史にもちなんで、プロジェクトのテーマは「湯と水で『ととのう』」に決定。平成20年に廃業した市内最後の銭湯「宝湯」を再生させてプロジェクトの中心に据え、宿泊、食事、銭湯をそれぞれ別の建物で楽しんでもらうコンセプトになっている。

    旧万年筆店や旧自転車店などの古民家を宿泊(2棟で計8室)やダイニングの空間に改修し、風呂は御所まちを散策して宝湯で楽しんでもらう。酒蔵見学や屋外サウナなどの体験メニューも検討している。

    御所まちづくりの大久保泰佑社長(37)は「維持ができなくなった歴史的建造物がこの数年もいくつか取り壊されており、昔の風情を残す最後のチャンス。地域の人に愛されるプロジェクトにしていきたい」と話している。


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