実際の救助映像使ったネット動画で春山の安全登山呼びかけ 長野県警

    大型連休に入って日本アルプスをはじめとする高山に多くの人が訪れ、登山シーズンが本格的に幕を開けた。長野県警山岳安全対策課によると、新型コロナウイルス禍の2年目となった昨年4~6月の春山シーズン中、県内での山岳遭難死者数が11人に上り、平成29年以来の規模となった。今年も人出は一定数あるとみており「滑落、雪崩、悪天候時の行動に注意してほしい」(岸本俊朗山岳遭難救助隊長)と安全・安心な登山を呼びかけている。

    雪の残る穂高連峰の涸沢(中央)=4月9日(長野県警提供)
    雪の残る穂高連峰の涸沢(中央)=4月9日(長野県警提供)

    交通事故死より多い

    同県警の山岳遭難救助隊は4月中旬、定期異動に伴う新隊員を加えて結隊式を実施。岩壁での登攀(とうはん)訓練や県警航空隊と合同でのヘリコプターによる救助訓練を実施して、シーズンの本格化に備えた。

    長野県警山岳遭難救助隊と航空隊の合同訓練=4月15日、同県大町市(原田成樹撮影)
    長野県警山岳遭難救助隊と航空隊の合同訓練=4月15日、同県大町市(原田成樹撮影)

    大型連休期間となる4月28日~5月8日までの11日間は、例年と同様に北アルプス穂高連峰への登山拠点である「涸沢(からさわ)」に隊員を常駐させるなどして、登山者の相談を受けたり、救助活動に当たる。

    新型コロナ流行に初めて見舞われた令和2年は、外出控えもあり、春山シーズンでの遭難発生件数は25件で、前年(63件)から大幅に減少し、死者も前年と同数の5人にとどまった。しかし、3年はアウトドアスポーツ人気もあって登山者の回帰傾向がみられ、遭難件数は47件に増加。さらに大型連休中に槍ケ岳で3人のパーティー全員が低体温症で亡くなるなど天候の悪さも重なり、死者数では11人とコロナ前を上回った。

    昨年1年間では、同県内の山岳遭難は257件、276人で、うち死者は47人、行方不明2人。山岳安全対策課では「昨年は県内の登山での死者数が交通事故の死者数(45人)を超えている。登山の危険性を認識してほしい」としている。


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