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習氏、長期体制優先で「共同富裕」見直しか 経済減速でIT締め付け停止

【北京=三塚聖平】中国共産党が、習近平総書記(国家主席)の看板政策として昨年から進めてきた「共同富裕」を見直す動きをみせている。貧富の格差解消を掲げて強めた国内IT大手への締め付けについて、党指導部が方針転換を決めたと報じられた。新型コロナウイルスの感染拡大などにより中国経済の減速懸念が強まる中、習氏の長期体制を目指す今秋の党大会に向け、政治的な安定を最優先させたとみられる。

共産党が4月29日に開いた中央政治局会議は、IT大手に関して「健全な発展を後押しする具体的な措置を実施すべきだ」と支援する姿勢を示した。中国インターネット通販最大手のアリババ集団などを苦しめてきた規制強化については、「特別な改善を完了し、平常状態の管理を行う」との方針を表明した。

香港英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は会議終了直後、関係者の見方として、党指導部がIT業界への締め付けを停止すると伝えた。5月4日までの労働節(メーデー)の連休後、中国の規制当局がアリババなどIT大手幹部を招いて会議を開き、そうした方針を伝えるという。

習氏は昨年8月、かつて毛沢東が提唱した共同富裕というスローガンを強調。党指導部は「高過ぎる収入の合理的な調節」や「高所得層と企業の社会への還元」を打ち出した。その後、高収入の象徴である芸能界やIT業界などがやり玉に挙がり、芸能人の脱税での摘発が続発。アリババは共同富裕の促進のために計1千億元(約2兆円)の拠出表明に追い込まれた。

しかし、こうした施策は、中国経済を牽引(けんいん)してきたIT業界を萎縮させ、不動産業界の冷え込みを深刻化させた。中国メディア関係者によると、党内でも「性急に改革を進め過ぎている」という批判が浮上。李克強首相が3月の全国人民代表大会で行った政府活動報告で「共同富裕」について触れたのは1回だけで、党内での意見対立や看板政策の後退が指摘されていた。

追い打ちをかけたのは、ロシアによるウクライナ侵攻と、上海のロックダウン(都市封鎖)など「ゼロコロナ」政策による景気悪化だ。事態がさらに深刻化すれば、習政権への庶民の不満の高まりは避けられない。習氏にとって今年は、秋の党大会で総書記3期目入りを決めることが最優先事項であり、異例の方針修正を認めたとみられる。


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