私の場合は、FIREの目途がついていたので金銭的な問題はなく、3カ月を超えても休職を継続し、介護と家事をしながら自身の療養もして、母親は無事に回復してくれました。仕事を休めたから乗り越えられたようなものです。もしも、あのとき働かざるを得なければ、自分の体調管理が精いっぱいで、少なからず老老介護をさせ辛い思いをさせるか、入院させて寂しい思いをさせていたことでしょう。
その後、私は、2020年秋、資産1億円を作ったのを機に、会社を退職してFIREしました。
その翌年2021年、父親が難病に罹患して、ふたたび介護生活が始まりました。まだ完全介護ではありませんが、進行性の病ですから治ることはありません。よって、父親の介護を継続していくことになります。
さらには、2022年1月に、母親がガンを患って入院、手術しました。その間、私は、父親の介護と母親のケア、家事をワンオペでしました。母親の診察など通院に付き添いました。入院後はコロナ禍で面会できませんでしたので、毎日2回、各30分程度、電話で話をしました。
精神的ケアは、家族によるのが一番です。これも、会社員だとしたら困難なことだったでしょう。もし、私が会社員だったら、父親は老人介護施設へ、母親は病院へ、私は自宅と、家族バラバラになり、両親に寂しい思いをさせていたでしょう。また、母親の退院後は、老老介護、病病介護になりかねなかったです。
このように、私は40代の3年数カ月の期間で「まさか」を3度も経験しました。自身の持病も含めると4度とも取れます。しかしながら、「FI(Financial Independence、経済的自立)」した私には金銭的な不安は皆無であり、介護も看病も家事も、そして自身の持病のコントロールもできたといえます。FIREと親の「まさか」には親和性があります。逆に、国によるセーフティネットを期待するだけでは厳しいといえます。親の長生きを「リスク」として語るようなことはあってはならないと、私は思います。
半生を振り返りますに、22歳で社会人になったときから、資産形成をしてきたことは正解だったと心から思います。
あなたのご両親は、「大丈夫。自分の介護費用くらいは貯めている。介護保険もある」というかもしれません。が、あなたが会社を休んで介護する期間の生活費はどうでしょうか? まして、会社を退職して介護する場合、その後の人生はどうなるでしょうか?
統計上、「まさか」が起こる確率は63.6%と申しました。高確率で、「現実」となります。今後、さらに長寿化するなかで、このパーセンテージはより高くなるでしょう。「親はいつまでも元気」と思いがちですが、それは錯覚です。人間は必ず老います。
よって、お金の問題は、若いうちから動いておくに越したことはありません。将来を見越して資産形成をしましょう。私は、自身の3度の「まさか」経験からそう思います。私は、親を、日常から「孤独」にさせまいと思っていますし、まして「孤独死」なんて絶対にさせません。
このコラムでは、株式投資に関して記述しましたが、あらゆる意思決定、最終判断はご自身の責任において行われますようお願い致します。ご自身の資産運用等において、損害が発生した場合、筆者は一切責任を負いません。ご了承ください。