傘の使い捨て シェア・再利用でゼロに アイカサ、大手8社と連携

    全国各地が梅雨入りし、傘を手にする機会が増えている。特に軽くて持ちやすく、どこでも手軽に買えるビニール傘が便利だが、大量の使い捨てが社会問題にもなっている。こうした中、傘のシェアリングやコンビニ店舗での回収を通して、使い捨てを減らす取り組みが活発化している。

    傘のシェアリングサービス「アイカサ」は大企業8社と共同で使い捨て傘をゼロにするプロジェクトに取り組む(提供写真)
    傘のシェアリングサービス「アイカサ」は大企業8社と共同で使い捨て傘をゼロにするプロジェクトに取り組む(提供写真)

    傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Group(ネイチャー・イノベーション・グループ、東京都渋谷区)は5月末、サントリーホールディングス、第一生命保険、大阪ガスなど大手8社と提携し、使い捨て傘をゼロにするプロジェクトを始動させた。

    大手8社は、傘の貸し出し・返却スポットの設置場所を提供するほか、サービスに使うオリジナルの柄をデザインした傘を開発する。アイカサは8社の従業員に無料で傘を貸し出すなどして利用者を増やす。

    アイカサは平成30年に始まったサービスで、スマートフォン用アプリを通じて、駅やコンビニなどに設置した貸し出し・返却スポットで傘を借りる。別の場所にあるスポットに返却することもできる。料金は1日70円。月280円で使い放題になるプランもある。クレジットカードやスマホ決済で料金を支払う。

    サービスは首都圏をはじめ、関西、愛知、岡山、福岡、佐賀などで展開する。スポット数は約1000カ所で、アプリ登録者数は約30万人に上る。スポット数は今回の提携により令和12年までに2万5000カ所に増やす計画だ。

    民間気象会社ウェザーニューズの調査では、1人当たりのビニール傘の所有本数は全国平均で1.6本で、中でも男性の31%は一番使う雨具とし女性の倍だ。突然の雨のときなどに買いやすく、メーカーなどでつくる日本洋傘振興協議会(同台東区)によると、ビニール傘の年間消費量は推計で6000万~8000万本とされる。

    一方、ビニール傘は壊れると分解に手間がかかるため、リサイクルに向いておらず、販売された傘の多くが埋め立てごみとして処理されている。

    このため、廃棄されるビニール傘を減らそうと、傘の販売・回収装置の普及に取り組む企業やリサイクルしやすい傘を開発する企業も出てきた。その一つがベンチャー企業のGREEN UTILITY(グリーンユーティリティー、同新宿区)だ。

    セブン-イレブン・ジャパンとビニール傘の販売・回収装置を開発し、都内の一部店舗で7月までの予定で実証実験を行っている。顧客はセブングループの電子マネー「nanaco(ナナコ)」で傘(税込み1100円)を買う。装置に戻せば400ポイントもらえる仕組みだ。グリーンユーティリティーの担当者は「利用状況をみて7月以降にサービスとして商用化したい」と話す。

    傘メーカーのサエラ(同港区)は再生プラスチックを活用したビニール傘「サステナブレラ」を開発した。傘生地とハンドル部分にプラスチック再生材料を50%以上含む素材を使う。骨組みの部分も含めて金属を一切使用していないため、簡単にリサイクルができるという。価格は1100円(税込み)で、コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで販売している。年50万~70万本の販売を目標にしている。(高木克聡)


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