研究開発職に向いている人とは? 「仕事内容がきつい」は本当か

はじめに

大学院を卒業した人が目指すことが多い研究開発職。実際にどのような仕事をしているのかご存知でしょうか。仕事内容がきついという噂も耳にしますよね。この記事では、研究開発職の仕事内容やきついと言われる理由、どんな人が向いているのかについて解説します。これから研究開発職を目指す人や研究開発職で就職を考えている人はぜひ、参考にしてください。

研究開発職の仕事内容とは

※画像はイメージです(Getty Images)

仕事内容は、基礎研究や商品開発、安全性テストなど様々です。研究開発職は、研究職と開発職の2つに仕事を分類でき、それぞれで仕事の内容は大きく異なります。一般的にはどちらかの職に配属されますが、稀に両方を兼務することもあります。それでは仕事内容をみていきましょう。

▼研究職

研究職とは企業の技術を生み出す仕事です。0から1を作り上げるのが研究職の職務になります。既存のものではなく、未知のものを生み出す点は、大学研究室の研究員に近いかもしれません。一つひとつの地道な研究により、社会の発展に貢献できることにやりがいを感じる人も多くいます。高い専門性を必要とするため、大学院の修士号を採用の必須条件にしている企業もあります。

【研究職の仕事内容】

  • 基礎研究
  • 基礎的知見の収集・分析
  • 実験の進捗報告・資料作成 など

▼開発職

開発職とは研究職が作り上げた技術を基に、商品開発をする仕事です。実用化に向けて、研究成果の1を10や100と大きく成長させることが開発職の職務です。社会で必要とされる商品を開発するために、市場調査なども行います。営業やマーケティング部門など様々な部署と協力しながら仕事を行うため、高いコミュニケーション能力を必要とします。開発職の仕事内容も幅広く、技術開発職、商品開発職があります。

【開発職の仕事内容】

  • 商品開発
  • 市場調査
  • 技術の活用方法の考察 など

研究開発職に向いている人

研究開発職と聞くと新製品や新技術の開発、特許の取得など花形職種のイメージがありますよね。いったいどんな人が研究開発職に向いているのでしょうか。ここでは、2つの特徴を解説していきます。

▼コミュニケーション力がある人

研究開発職には、コミュニケーション力がある人が向いています。研究開発職はひとりで黙々と作業を進めるイメージが強いですが、実は他部門との関わりも多い仕事です。例えば、新商品の開発を例に考えてみましょう。商品のイメージやアイディアを出すのは、マーケティング部門やデザイン部門です。営業部門と原価など採算についてやり取りを行うことも必要です。商品を生産するには、生産管理や製造技術部門とのすり合わせも必要となります。

このように人と関わる業務が多いことが分かります。より良い商品の研究開発は、円滑なコミュニケーションの上に成り立っていると考えて良いでしょう。そのため、コミュニケーション能力がある人ほど現場で活躍できる機会が多くなります。

▼物事を追究する力がある人

物事を追求する力がある人が向いています。研究開発職の仕事内容に、数学のようなはっきりとした答えはありません。実験と検証を繰り返し、自らの力で解決策を探っていく必要があります。なぜこの結果になったのか、よりよい成果を出すためにはどうしたらいいのかなど、物事を追求できる力が重要です。日頃から考えるのが好きな人や論文やレポートを読むことが好きな人も研究開発職に向いているといえるでしょう。

研究開発職におすすめの資格

※画像はイメージです(Getty Images)

研究開発職に就くには、特別な資格は必要ありません。ただ、持っていると役に立つおすすめの資格を理由と合わせて紹介します。

・技術士

科学技術に関する知識を有し、豊富な実務経験があることを証明する資格。

・知的財産管理技能士

著作権や特許など知的財産の管理を行うための知識を有している証明になる資格。

・QC検定

品質管理の資格。品質管理の知識の証明になる。

基本的に仕事をするときに必要な資格は、入社後に取得できるよう企業がサポートしてくれるので、心配することはありません。

研究開発職に就くメリットとデメリット

次に研究開発職に就くメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。

▼メリット

研究開発職に就くメリットは2つあります。

1つめは、自分自身が興味のある分野に関わることができる点です。就職の際は、学生時代に学んできた分野に関係する企業に入ることが一般的です。そのため、将来にわたり好きな研究に没頭することができます。また専門分野で実績を作ることで、大きな達成感を得ることができるでしょう。

2つめは、高い収入が期待できる点です。研究開発職として専門性とスキルを身に付けることで、他職種より高い収入を得ることができます。

▼デメリット

他の研究開発分野への転職が困難という点です。研究開発職に就くには、専門性を高める必要があります。そのため、専門分野以外に興味を持ったとしても、それ相応の知識や経験がないと転職することができません。高い専門性ゆえにつぶしが効かない職種なので、目指す際には注意が必要です。

研究開発職の仕事はきついって本当?

研究開発職の仕事がきついと言われる理由は大きく2つあります。1つめは、研究開発の成果がでるまでは、同じような作業の繰り返しが続くことです。何度も実験と検証を繰り返し、成果を求める必要があり、その作業を繰り返す地道な作業をきついと感じてしまう人も多いようです。

2つめは、期限までに研究の成果を出さなければならないということです。何か新しい商品を研究開発する際には決まった期限があり、実際に結果が出せるか不明確な研究開発を期限までに出さなければならないという圧力をつらいと感じてしまうように思えます。そのため、研究開発職だから仕事がきついわけではありません。

まとめ

研究開発職は研究職と開発職に分かれ、仕事内容は大きく異なります。

0から1を生み出すのが研究職であり、研究職が生み出した1を10にも100にも引き上げるのが開発職の役割です。仕事の内容は実験や検証はもちろん、他部署との調整や情報共有など多岐に渡ります。そのため、地道にコツコツと結果を追求する探究力と、他者との交流をスムーズにこなすコミュニケーション力が必要とされます。研究以外の作業も多く、研究成果が必ず出るわけでないという未知の要素があるため、人によってはきついと感じてしまうこともあるようです。

ただ、自分自身の好きな仕事に専念でき、結果がでれば大きな達成感が得られ、高い収入も見込めることができる魅力的な職業といえるでしょう。

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