乗り換えるとスマホの通信速度が落ちる「バンド問題」の本質 SIMロック解除で顕在化

2022年前半、携帯電話業界で大きな注目を集めていたテーマがある。それは「バンド問題」というものだ。

「バンド」とは、携帯電話で通信するのに必要な電波の周波数帯のこと。電波は国の限りある資源であることから、携帯各社は国から通信に必要な周波数免許の割り当てを受けてサービスを提供しているが、それだけに携帯4社がみな同じバンドの免許を持っているとは限らない。

携帯電話大手3社などの看板=東京都千代田区
携帯電話大手3社などの看板=東京都千代田区

もちろん中には1.7GHz帯のように、4社全てが免許を持つバンドもいくつかあるのだが、それ以外のバンドは必ずしも一致していない。それゆえ携帯各社が販売するスマートフォンは、自社のネットワークで快適に利用できるよう免許を保有する主要バンドには全て対応させているものの、他社のバンドに対応するメリットがないこともあってか、それらのバンドには必ずしも対応しているとは限らない。

そこで発生するのが、端末と回線のバンドの不一致で通信ができなくなってしまう「バンド問題」だ。例えばNTTドコモから購入したスマートフォンにKDDI(au)のSIMを挿して通信した場合、スマートフォンの側がKDDIが免許を持つ主要なバンドに対応していないと、通信速度が落ちてしまったり、場所によっては通信ができなくなったりする可能性が出てきてしまう。

この問題が顕在化したのは、総務省のガイドラインによって2021年10月1日以降に発売された端末に、SIMロックをかけて販売することが原則禁止されて以降だ。SIMロックが存在した以前は、携帯電話会社を乗り換えるなら端末を買い直す必要あったので、バンド問題を意識する必要がなかった。だが現在販売されている端末はSIMロックがかかっていないので、スマートフォンに挿入されているSIMを差し替えるだけで、端末を買い替える必要なく携帯電話会社の乗り換えがしやすくなっている。

契約する携帯電話会社が変わることで、端末によってはバンド問題に遭遇して快適に通信できなくなる可能性があり、消費者が不便を被ってしまう。そこで2022年3月に実施された総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」で、バンド問題が議論のテーマとして急浮上した訳だ。

そして、この議論が始まった当初、疑念の目が向けられたのが携帯電話会社である。数百~数千万規模の顧客を抱え多くのスマートフォンを販売する携帯電話会社は、多くの端末メーカーに対して優越的な地位にある。そこで携帯電話会社がユーザーの乗り換えを阻止するため、メーカーに圧力をかけて調達する端末には他社のバンドに対応させないようにしているのではないか?という疑惑がかけられた訳だ。

だが携帯4社は一律に圧力の存在を否定、自社の主要バンド以外への対応はメーカー側に任せているとしていた。またメーカー側からも、他の携帯電話会社の周波数帯を排除するよう要求されたことはないとの声が上がっており、バンド問題が携帯電話会社の圧力によるものではないことが見えてきたのだ。

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