国土地理院などによると、19日に震度6弱の地震があった石川県珠洲(すず)市の観測点では、1年半で約4センチの隆起が確認され、周辺では1年以上も群発地震が起きている。専門家は、プレートの沈み込みとともに取り込まれた水が隆起の原因となり、地震を引き起こしているとの見方を示した。
気象庁によると、石川県能登地方では平成30年ごろから地震回数が増加傾向となり、令和2年12月から地震活動が活発化。同月以降、震度1以上の地震は約150回観測されている。
気がかりなのは周辺で起きている地殻変動だ。国土地理院によると、令和2年11月と今年5月のデータを比べると、珠洲市の観測点は約4センチも隆起していた。地震活動の活発化と地殻変動は、ほぼ同時期に起きているといえる。
「地下十数キロ付近に水などがたまって膨張し、周辺の岩盤に力が加わるなどして地震が起こりやすくなっている可能性がある」。京都大の西村卓也准教授(測地学)は指摘する。
西村氏の推測では、太平洋プレートが沈み込む際に引き込まれた海水の一部が、温度や圧力の影響で上昇。地下十数キロ付近にたまり、地面が隆起したとみられる。その後、周囲の岩盤に力を及ぼすようになり、群発地震の原因となっている可能性があるという。
隆起は今も続いており、「すぐに地震活動が衰える傾向はみられない」(西村氏)。当面は強い揺れに警戒する必要があるとして「家具を固定したり、高いところに物を置いたりしないなどの対策をとってほしい」と呼びかけている。