日本で急成長する中国新興スマホメーカー 避けられない米中対立の影響

一部で続く“中国メーカー外し”

2社の市場参入は最後発ということもあって、参入当初は日本市場にどこまで本気で取り組もうとしているのか、疑問視する声も少なからずあった。だが防水・FeliCaへの対応を積極化したことが、日本市場に向けた本気度を示し信頼を獲得することにつながったことは確かだろう。

これら2つの要因から短期間のうちに大きな成長を遂げた2社だが、さらなる成長に向けては課題も少なからずある。1つは日本への参入がごく最近ということもあって、知名度が高いとは言えないことだ。

日本市場に参入した中国オッポのスマホ「R11s」=2018年1月31日、東京都渋谷区
日本市場に参入した中国オッポのスマホ「R11s」=2018年1月31日、東京都渋谷区

「iPhone」で圧倒的な強さを誇る米アップルや、ソニー、シャープなどの国内メーカー、そして「Galaxy」ブランドで長くスマートフォンを販売している韓国サムスン電子など、主要なメーカーは既に多くの日本人に認知されている。今後はそうしたメーカーと正面からぶつかってシェアを獲得していく必要があるだけに、ブランド認知をいかにして高めるかは大きな課題となってくるだろう。

そしてもう1つ、大きな課題となってくるのが米中対立の影響だ。もちろん2社は米国から直接制裁を受けているわけではないので、ファーウェイ・テクノロジーズのようにスマートフォンの開発に影響が出ているわけではない。だがそれでも中国メーカーである2社が国内でシェアを伸ばす上で、米中対立の影響を避けて通ることができない部分がある。

その理由はNTTドコモにある。というのもファーウェイ・テクノロジーズが米国から制裁を受けて以降、NTTドコモは中国メーカー製品の採用をあえて避けているかのような動きを続けているのだ。実際、同社が発表した2022年夏モデルのラインアップを見ると、販売されるスマートフォンは国内メーカーとサムスン電子のものに限られ、中国メーカーの姿はない。

KDDIやソフトバンク、そして楽天モバイルまでもが2社のスマートフォンの販売を積極化しているだけに、NTTドコモの動きはとても不自然に見えるのだが、その背景には日本電信電話(NTT)の存在があると見られている。NTTは2020年にNTTドコモを完全子会社化して大きな波紋を呼んだが、NTTの大株主は「政府および地方公共団体」、つまりは日本政府だ。

そして日本は米国の同盟国である。それゆえ日本政府が大株主であるNTTの完全子会社となり、NTTの影響を色濃く受けるようになったNTTドコモは、基地局などのネットワーク設備だけでなくスマートフォンなどの端末に関しても、米国と対立を深める中国の企業の製品を採用しづらくなったと考えられるわけだ。

そうしたことからオッポやシャオミは現在、NTTドコモへの端末供給を実現したくてもできない状況にあるといえるだろう。NTTドコモは国内最大手の携帯電話事業者で、スマートフォンの販売数も他社より多いだけに、2社にとってはNTTドコモに端末供給できないことが、今後日本での販売シェアを伸ばす上で大きな障壁となる可能性が高い。

そしてその解決には政治が大きく絡んでくるため、すぐ状況が変わるとも考えにくい。ファーウェイ・テクノロジーズとは違った形で米中対立の影響を色濃く受ける日本の現状は、2社にとってもどかしいものといえるかもしれない。

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