本気でアフリカ目指す日系自動車 世界最後の成長市場へアクセル
世界最後の成長市場、5年後に300万台超
日系自動車メーカーが、生産拠点や販売の現地法人をアフリカに設ける動きが目立ってきた。年間8000万台超ともいわれる世界自動車市場。アフリカ全土の販売台数は2%程度にすぎないが、人口の増加に伴い将来の有望市場となるのは確実だ。
50年以上前から事業を開始するなど先行するトヨタ自動車に加え、日産自動車も来年4月に生産拠点を拡充。ホンダも今年9月、アフリカ2拠点目となる輸入販売拠点で事業を始めるなどアクセルを踏み込む。
幅広い車種を拡販
「流行した言葉じゃないけど、『今でしょ』。本気でやらないと遅れる」
ホンダのアフリカ四輪課の市川博英課長は、こう危機感をあらわにする。
同社は9月、1億6000万人とアフリカ最大の人口規模のナイジェリアで輸入販売を始めた。
これまでは現地の販売代理店が行っていたが、自社の現地法人が直接手がける方式に改めた。2014年に、12年比6割増となる4000台の販売を目指す。また、昨年末からはインドで生産する新興国専用車「ブリオ」の販売を南アフリカで始めた。
アフリカ全体での販売台数は、12年で1万3000台だが、今年はすでに9月までで1万4000台。市川課長は「二輪車で培ったブランド力を生かしたい」と意気込む。
日産は南ア、エジプト、ケニアに次ぐ4カ国目の生産拠点(委託を含む)をナイジェリアに設ける。地元資本の企業に生産委託する形で、来年4月から現地生産に乗り出し、大型ピックアップトラックを生産する計画だ。来年末には、南アで低価格の世界戦略車「ダットサン」の販売も計画するなど、幅広い車種を扱い販売攻勢をかける。担当者は「12年度に11万台だった販売台数を16年度には倍増させたい」としている。
これまで米フォードモーターに販売を委託していたマツダも8月、南アに販売統括会社を設立した。
一方、1961年から事業を始めたトヨタ自動車。南アを中心に12年で前年比15%増の23万8000台を販売するなど、すでに市場での地位を確立。南アのダーバン工場の12年の生産規模は、03年比約1.5倍まで拡大した。これまで政府や法人向けの需要が多かったが、個人にも販売を広げていく計画だ。
アフリカ全体の12年の販売台数は約174万台だが、5年後には300万台を超えると期待される。ここまで急激に伸びる市場は、世界でもアフリカが最後とされる。すでに欧州、米国、中国、インド、韓国の各メーカーも進出。南アにいたっては60以上のブランドがしのぎを削る。
投資判断が重要
トヨタも昨年4月から南アにインド生産の新興国向けセダン「エティオス」を投入するなど低価格化を急ぐ。
スズキもインド生産車種に加え、年内にハンガリー工場で生産した小型スポーツ用多目的車(SUV)「SX-4」を投入する方針だ。
SUVやピックアップトラックが中心の三菱自動車も「(価格の安い)軽自動車が通用するのか、大いなる実験をしてみたい」(益子修社長)と話す。
コンサルティング会社のデロイトトーマツコンサルティングの田中義崇パートナーは「10年後の市場シェアを考えれば、ここ2~3年の投資判断が勝負の分かれ目だ」と話す。(飯田耕司、田辺裕晶)
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