VW、日本でのディーゼル車投入時期見直しも、日本勢「同一視されたくない」
独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス規制逃れの不正を受けて、ディーゼル車の国内販売への影響が懸念されている。VWの日本法人は24日、来年予定していた国内投入を見直す可能性を明らかにした。ディーゼル車は力強い走りや燃料の安さを売りに市場が拡大していただけに、冷や水を浴びせかねない。
VWの日本法人フォルクスワーゲングループジャパンは主力モデル「パサート」のディーゼルエンジン搭載車を年内に発表し、来年1~3月に販売する計画を表明していた。
今回の不正問題で、同社の担当者は「本社とも相談するが、計画を見直す可能性がある」と述べた。今後の事実究明や消費者の反応などを見極める意向だ。
ディーゼル車は、日本では大気汚染や騒音などのマイナスイメージから消費者に敬遠されてきた。だが近年、自動車メーカーが最新の環境規制をクリアしたクリーンディーゼル車を開発。低燃費で加速性能があり、燃料の軽油も安いため、増税の影響などで国内新車市場が伸び悩む中でも、クリーンディーゼル車は好調な販売を維持。日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、今年1~8月の販売は10万5127台と、前年同期の2・3倍に急増した。
各社も積極的に投入を進めている。平成24年にスポーツ用多目的車(SUV)「CX-5」のディーゼル車を販売して市場を牽引(けんいん)してきたマツダは、今年2月にディーゼル車のみの設定の「CX-3」を発売。6月にはトヨタ自動車が乗用車として8年ぶりにディーゼル車を復活させた。メルセデス・ベンツやBMWなど海外勢も、ハイブリッド車に並ぶ“エコカー”としてアピールしていた。
ディーゼル人気が盛り上がりを見せ始めたばかりだっただけに、VWの不正について、他社には「ディーゼル車が環境に悪いと同一視されることが怖い」との不安が広がっている。
排ガス中の有害物質の低減方法はメーカーごとに異なっており、マツダは「各国の法令を順守している」と強調している。(田村龍彦)
関連記事