人手不足でモーダルシフト再び脚光 貨物列車や貨物フェリー

 
イオンが複数の取引先と共同で実施した貨物列車を使ったモーダルシフト=2014年12月(JR貨物提供)

 モーダルシフトはこれまで、二酸化炭素(CO2)排出量削減が主目的だったが、長距離のトラックドライバーを中心に人手不足が深刻化する中で再び脚光を浴びている。

 イオンは2014年12月から、東京と大阪を専用の貨物列車で商品を行き来させる取り組みを始めた。物流量が急拡大する年末年始などの繁忙期には長距離ドライバーを確保することが難しいため、アサヒビールや江崎グリコなどと共同運行している。

 福山通運は13年3月から、東京-大阪間で毎日1往復の専用貨物列車の運行を開始。大型トラック80台分を移管した。この成果を踏まえ今年3月から、新たに広島県福山市と東京を結ぶ専用列車を追加した。

 海上輸送も拡大している。酒類大手オエノンホールディングスは今夏、北海道の苫小牧工場で生産した工業用アルコールを静岡県の清水工場にタンカーで運ぶ海上輸送に切り替えた。

 これまで苫小牧からタンクローリー車で全国に陸送していたが、清水工場までの海上輸送と同工場からの陸送に切り替えることで、年間1億円超のコスト削減を見込む。

 味の素も昨年から、500キロを超える長距離輸送には貨物フェリーを使う物流システムを稼働させた。

 ただモーダルシフトには、鉄道事故や災害などの輸送障害発生時に代替輸送手段が乏しいことや、海上輸送でも若手人材が不足し高齢化が進んでいるといった課題もある。さらなる普及にはこれらの問題解消が不可欠だ。(平尾孝)