トヨタ「クラウン」日本生まれを強調 「海外ブランドもたくさん見てきたが…」

現場の風

 □トヨタ自動車チーフエンジニア「クラウン」担当・秋山晃さん(52)

 --今回の改良では日本をイメージした新色や加速性能を高めたターボエンジン搭載モデルを初めて用意し、“日本専用開発車”を前面に押し出した

 「日本の道を走り込んで作ってきた。逆手に取ってアピールしたい。われわれの世代もバブルを経験し、海外ブランドもたくさん見てきたが、やっぱり日本がいいと見つめ直しているように感じる。メード・イン・ジャパンはいいものだということを改めて強調したい」

 --「アスリート」シリーズに排気量2000ccのターボエンジン搭載モデルを設定した

 「(改良は)外だけでなく、中身も変えないとお客さまには分かってしまう。ターボエンジンを積み、走りを向上させた。ボディーの剛性を高めるため、構造用接着剤なども追加している。生産ラインの変更が必要なので普通の改良ではやらないが、工場などにも協力してもらって取り組んだ。クラウンの購入者の平均年齢は62歳くらい。できれば40代半ばから50代に若返らせたい」

 --路車間・車車間の無線通信を使った運転支援システム「ITSコネクト」を世界で初めて採用した

 「クラウンは全方位の安全確保を目指しており、自動ブレーキやアクセルの踏み間違い防止、歩行者傷害軽減ボディーなどは既に採用している。ITSコネクトはインフラと協調しないと駄目だが、交差点の事故を減らせる。クラウンがやることで他の車にも入るだろうし、インフラの整備が進めばいい」

 --足元の販売の状況は

 「スポーツ用多目的車(SUV)やミニバンに乗り換えた人たちがセダンに戻ってきていない。競合はベンツのCクラスなどだけでなく、法人利用なら(高級ミニバンの)アルファードを選ぶ人もいる。月販目標3700台というのはチャレンジングな目標だ」

【プロフィル】秋山晃

 あきやま・あきら 横浜国立大工学部卒。1986年トヨタ自動車入社。実験部で「クラウン」や「アリスト」「セルシオ」などを担当し、2001年に先行車両開発企画室主幹(MCプラットフォーム開発)。07年に主査となり、「クラウン」を担当。14年1月からチーフエンジニア。山口県出身。