JFEなど水素ステーション向け蓄圧容器試作 低コスト・長寿命化を可能に

 
JFEスチールなどが試作した水素ステーション向けの蓄圧容器

 JFEスチールなど3社は30日、水素ステーションで高圧水素の貯蔵に使う蓄圧容器を試作したと発表した。鉄と炭素繊維を組み合わせることで、低コスト化や長寿命化が可能になるという。今回試作した容器は3リットル分しか水素を貯蔵できないが、今後は100リットル程度まで大型化し、2018年までに商品化したい考え。

 蓄圧容器は、JFEスチールの鉄と三菱レイヨンの炭素繊維を使い、JFEスチール子会社のJFEコンテイナーが試作した。JFEスチールの鋼管を使って製造した「ライナー」と呼ぶ胴体部分に、三菱レイヨンの炭素繊維を巻き付けた。

 現状の蓄圧容器は、鉄製もしくはアルミ製ライナーに炭素繊維を巻き付けたものが主流。これに対し、試作した容器はライナーに原油掘削などに用いるシームレス鋼管を使うため、鉄製より製造コストを抑えられる。アルミと比べても強度が高い分だけ炭素繊維の使用量が減らせるという。

 このほか、水素によって鋼材がもろくなる「水素脆化(ぜいか)」に関するJFEスチールのノウハウも盛り込んだ。

 燃料自動車(FCV)の発売などに伴い、水素ステーションの整備が進み始めているが、現状では1カ所当たり5億円程度の整備費用がかかるほか、蓄圧容器の耐久性も不足しているとされる。

 JFEスチールでは、蓄圧容器の量産に成功すれば、こうした課題が解消され、水素ステーションの整備に弾みがつくとみている。