マツダ、ロータリーエンジン復活へ「6合目」 今あえて開発する理由とは…

 
マツダ独特のカラー「ソウルレッド」が映える「RX-VISION」=東京ビッグサイト(撮影:大竹信生)

 □マツダ常務執行役員 研究開発・コスト革新担当 藤原清志さん(55)

 --東京モーターショーで初公開したロータリーエンジン搭載のスポーツカー「RX-VISION」が話題になった。このタイミングで出した理由は

 「一つは(「CX-5」など新世代商品群の成功で)夢を語っていいレベルになった。もう一つは50年前の東京モーターショーで(世界初のロータリーエンジン搭載スポーツカーの)『コスモスポーツ』を持ってきて走らせた。50年の区切りもあり、われわれのビジョンとしてこれを造れるような会社になろうと出展した」

 --2012年にロータリーエンジン車の生産を中止したが、技術的なブレークスルーがあったのか

 「やらなきゃいけない課題は何十年も前から見えている。排出ガス、燃費、ロータリーの持つ構造的な問題で、永遠の課題だ。時代とともに変わる技術に測定技術があり、センシングしたり、コンピューターを使った技術で、エンジンの中でどんな火花が出たり、どう動いていたかが見えるようになった。そこが一番大きい」

 --商品化は近いのか

 「6合目くらいに来ていると思う。テスト車ではいい結果が出ているが、車はいろんな状況で使われる。市販車にしたときに品質問題がないか、市場で確認するのが一番の課題だ」

 --他のエンジンの性能向上が進む中、あえてロータリーエンジンを出す必要はあるのか

 「小さくて軽くて高出力というのが一番の魅力だ。発電機として使うこともでき(エンジンで発電して電気自動車の航続距離を伸ばす)レンジエクステンダーも考えている。水素を燃焼させる場合も、燃焼する場所と排出ガスを出す場所が違うので、異常燃焼を起こしにくい。工場で出る水素でロータリーエンジンを回して発電するのはあってもいい」

【プロフィル】藤原清志

 ふじわら・きよし 同志社大機械工学科卒。1982年マツダ入社。主力小型車「デミオ」の主査などを務めた。マツダモーターヨーロッパ副社長や商品企画ビジネス戦略本部長などを経て、2007年パワートレイン開発本部長、08年執行役員。15年4月から現職。岡山県出身。