VAIO大田社長、18年までに「PC事業の海外比率を国内と同等に」

 

【2016 成長への展望】VAIO社長・大田義実さん(63)

 --パソコン市場が世界的に縮小している

 「当社はヘビーユーザーのビジネスマン向けの高品質、高機能製品に特化しており、量を追求していない。2015年12月には、インターネットへの常時接続が可能なSIMフリーLTE(高速データ通信サービス)を搭載したモバイルノートパソコン『S11』を発売した。キーボードを打つ音も静かで、フルハイビジョンの液晶画面も搭載し、頑丈にできている」

 --スマートフォン普及の影響は

 「メール送信などはスマホでもできるが、パソコンは、出張やプレゼンテーションの頻度が多いビジネスマンには欠かせない。当社は絵や設計図の作成などに便利な製品『Zキャンバス』も販売しており、クリエーターなどの顧客に好評を博している。まだまだ機能を進化できる余地はある」

 --東芝、富士通との事業統合は実現するか

 「ソニーから離れて1年半がたち、自立していく段階にある。パソコンと新規事業の両方に取り組む方向性は変わらない。一般的に考えれば、統合は部品の仕入れ価格を安くできるなどのメリットはある。具体的に統合の話が来てメリットがあれば検討したい」

 --新規事業の状況は

 「18年に新規事業の売上総利益をパソコンと同等にするのが目標だ。当社は、ソニーのイヌ型ロボット『アイボ』の技術や工場を受け継いでおり、富士ソフトが開発するコミュニケーションロボット『パルミ』を量産している。顔認証技術を搭載し、高齢者の話し相手や企業の受け付けなどに活用されて好評だ。人工知能(AI)やロボットの需要は伸びる。新型ロボットを今後も市場に投入していきたい」

 --ロボット以外は

 「手の動きを認識するウエアラブル玩具の『モフ』の受託生産をしている。今後もウエアラブル関連の機器の生産は受託したい。このほか、マイクロソフトの基本ソフト『ウィンドウズ10』を搭載したスマホも開発するほか、ファクトリーオートメーションやIoTに関連する部品も提供していく」

 --パソコン事業の海外展開は

 「15年は、米国とブラジルで販売を開始した。ブラジル経済はレアル安などの懸念材料があるが、当社ブランドのプレミアム商品が受ける影響は限定的だと思う。当社ブランドの製品は南米、中近東、アジアで人気がある。18年までにパソコン事業の海外比率は国内と同等にしたい」

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【プロフィル】大田義実

 おおた・よしみ 一橋大商卒。1976年ニチメン(現双日)。2004年常務執行役員、10年サンテレホン社長、14年ミヤコ化学社長。15年6月から現職。東京都出身。