ソニー、8年ぶり営業益2000億円超 好調だった画像センサーに“変調”

 
2015年4~12月期決算を発表するソニーの吉田憲一郎副社長兼最高財務責任者(CFO)=29日、東京都港区の本社

 ソニーが29日発表した2015年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比0.1%増の6兆2816億円、営業利益が2.3倍の3870億円、最終損益が2361億円の黒字(前年同期は191億円の赤字)だった。

 10~12月期で営業利益が2000億円を超えるのは8年ぶり。16年3月期業績予想は据え置いた。ただスマートフォンのカメラなどに使われ、好調が続いてきた画像センサーの需要に“変調”がみられ、先行きに不安を残した。

 営業損益では、前年同期に不振だったスマホ事業の赤字が大幅に縮小したほか、据え置き型ゲーム機「プレイステーション4」の世界販売が好調だったゲーム事業では5割を超える増益を確保。エレクトロニクス(電機)の多くの事業で業績が改善し、全体を押し上げた。

 一方で、画像センサーなどのデバイス事業の営業利益は4割超も減少。15年10~12月期は117億円の赤字に沈んだ。画像センサーは米アップルなど世界のスマホメーカーに幅広く供給しているとみられるが、一部の中国メーカーなどが不振だったとみられる。米国の利上げや資源価格の下落で新興国の通貨安が進み、購買力が低下したことも背景にある。

 吉田憲一郎副社長兼最高財務責任者(CFO)は「スマホの環境が変わった。投資・生産について迅速に見直したい」と述べた。今年9月末までに生産能力を月産8万7000枚(300ミリメートルウエハー換算)まで増産する予定だったが、これを見直し、新しい計画をつくる方針を示した。

 中長期的には自動運転の機運の高まりなどを背景に車載向けなど新用途の需要が増えるとみており「成長牽引領域という位置づけは変えない」(吉田副社長)という。