シャープ再建、台湾・鴻海案軸に交渉 事業売却や人員削減の否定を評価

 
再建方針についての記者からの質問に答える高橋興三・シャープ株式会社代表取締役社長=4日午後、東京都港区芝浦(宮川浩和撮影)

 経営再建中のシャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の再建案を軸に交渉を進めることが4日、明らかになった。これまで官民ファンドの産業革新機構と交渉してきたが、鴻海の提案は出資額で機構を大幅に上回ったほか、事業売却や人員削減を否定したことを評価。シャープは今後1カ月程度かけて、どちらを選ぶか最終判断する方針だが、国内家電大手の一角が外資の傘下に入る方向が強まった。

 同社の高橋興三社長は同日、東京都内で開いた記者会見で、「産業革新機構と鴻海精密工業に絞って交渉している」とし、「現時点では(提案を精査する人員などの)リソースを鴻海により多くかけている」と述べた。鴻海を「強い部品調達能力や生産能力を持っており、大きな相乗効果がある」と評価した。

 鴻海は、シャープ本体への出資や事業拡充に必要な成長資金として6千億円超を拠出することを提示していた。

 鴻海の郭台銘会長は1月末、大阪市阿倍野区のシャープ本社を訪れ、経営陣に支援案を直接説明。現経営陣を続投させるほか、事業売却はせずに「シャープ」ブランドを温存し、雇用も守る考えを示していた。

 シャープ再建をめぐっては、政府が液晶分野での先端技術の海外流出を懸念。革新機構が3千億円規模の出資を盛り込んだ再建案を提示し、シャープも受諾する方向で調整していた。

 ただ、機構案は主力の液晶事業を分社化して機構傘下の中小型液晶大手ジャパンディスプレイと統合し「日本連合」の形成を目指すほか、冷蔵庫や洗濯機など白物家電も東芝の同事業と再編を検討。大規模な人員削減への懸念や、「政府による企業救済」との批判が強かった。