スマホ活用し自宅で遠隔診療 オプティムとMRT「ポケットドクター」4月開始
ソフトウエア開発を手掛けるオプティムと医療情報のプラットホームを提供するMRTは、国内初のスマートフォンやタブレットを用いた遠隔診療アプリ「ポケットドクター」のサービスを4月から始める。健康保険が適用され、自宅にいながら医師から適切なアドバイスを受けられる。1340の医療機関が賛同してスタートする。2019年3月までに全国の10%に相当する、約1万カ所の医療機関に参画を促していく。
身近に医師がいない離島や過疎地のほか、体調が悪いものの仕事が忙しくて通院する時間がない場合や、体に違和感があるが通院するほどではない状態-など、さまざまな利用を想定している。
従来の電話による診療では、医師は会話内容だけで症状を判断せざるを得なかったが、ポケットドクターは、モバイル端末のカメラやウエアラブル機能を使って、患者の顔色や患部の状況、体温や脈拍、血圧などを把握することで、遠隔地からでも適切な診断ができる。
サービスは、初診を受けた医療機関に再診をしてもらう「かかりつけ医診療」から開始する。外出が困難な高齢者など、医療機関に出向くことなく体調を相談したり、けがなどの診察を受けられる。当面、料金は無料としている。
さらに、かかりつけ医診療サービスに続いて「予約相談」を始める予定。全国の専門医に時間を予約して健康相談ができる。近くに専門医がいない場合や、かかりつけ医以外の医師に意見を聞くセカンドオピニオンとしても活用できるほか、産業医やメンタルヘルスチェック義務化に伴う企業の活用も視野に入れている。料金は5分間で1620円から。
また深夜の急な体調異変などのとき、24時間年中無休で、医師に相談できる「今すぐ相談」は、16年度内のサービス開始を予定している。月額540円から。
いずれのサービスもアプリから相談したい内容などを入力し、表示される複数の医師から選んで相談する。
医師は診療の合間の空き時間を有効に活用し、医療機関以外の場所でも診療できるため、産休中や育休中の女性医師が自宅で応対することも可能になる。
今後、さまざまなヘルスケア機器、ウエアラブルデバイスと連携し、相談者自身が気付かない情報を医師や医療機関と共有することで、深刻な疾患でも悪化する前に検知できるようにしたい考えだ。
オプティムの菅谷俊二社長は「遠隔診療が当たり前になるような時代をつくりたい」と期待する。一方、MRTの馬場稔正(としまさ)社長は「医療の恩恵を受けられない人を救いたい」とサービスの普及を願っている。(佐竹一秀)
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【会社概要】オプティム
▽本社=東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー19階
▽設立=2000年6月
▽資本金=4億1135万円
▽従業員=115人(15年3月末時点)
▽売上高=25億円(16年3月期予想)
▽事業内容=ソフトウエア開発
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【会社概要】MRT
▽本社=東京都渋谷区神南1-18-2 フレーム神南坂3階
▽設立=2000年1月
▽資本金=2億2870万円
▽従業員=84人(15年12月末時点)
▽売上高=10億円(16年3月期予想)
▽事業内容=医療情報プラットホームの提供
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