経済界、新たな復興支援 商流拡大へ持続的に協力
東日本大震災の発生から11日で5年となる中、経団連など経済界は復興支援を新たな段階に押し上げようとしている。被災地の産業は震災前の水準に戻りつつあるが、水産加工業では売上高が被災前の8割以上に回復した事業者は40%にとどまるなど回復途上だ。特に原発被害の影響で、福島県の復興は他の被災県に比べ遅れている。経済界は、被災地企業との取引拡大による息の長い支援を目指すと同時に、福島県の復興を訴える支援を進める。
「現状の売上高は震災前の72%。競合他社に販路を奪われたが、既存事業での回復は無理。新規事業で拡大させる」
宮城県塩釜市のかまぼこメーカー、マルブン食品の佐藤文行社長はこう話す。工場が被災し生産が停止している間に、販売先を競合に奪われた。既存の家庭向け事業では挽回に限界があるため、新たに業務用やホテルビュッフェ向け商品を開発し、新たな販路を探す。
そこで期待するのが、経済界が取り組む商流拡大だ。経済界はこれまで復旧支援に重点を置いてきた。経済同友会は経営者や企業から寄付を募り、水産高校や工業高校などに、震災で失われた実習機材を提供する活動を展開。総額は5年間で総額21億円に達した。しかし今後5年間は「企業の販路拡大やビジネスマッチングなどを重視し、被災地経済の復興に向けた持続的な協力」(担当者)に切り替えていく。
経団連も東北地方の物産展などの支援強化を進めるが、岩沙弘道審議委員会議長(三井不動産会長)は「震災で自社の価値を見つめ直し、事業を刷新させている被災企業が多い。大きな市場に新たに進出することが必要で、そういった動きを支援したい」と語る。
原発事故で復興が遅れる福島県の支援にも注力。日本商工会議所は「国際廃炉研究開発拠点など地域全体の再生を牽引(けんいん)するプロジェクトの早期実現」を、同友会は「復興庁の福島県への移転」を打ち出し、政府が復興の前面に立つ姿勢を明確にすることを求めている。(平尾孝)
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