政投銀、上場企業に初TOB 鬼怒川ゴム全株式を526億円で取得へ

 

 日本政策投資銀行は11日、東証1部上場の鬼怒川ゴム工業に株式公開買い付け(TOB)を7月にも実施し、全株式の取得を目指すと発表した。政投銀が上場企業にTOBを実施するのは初めて。政投銀は、企業の競争力向上や、地域経済の活性化のための投資に力を入れている。

 現在、鬼怒川ゴムの発行済み株式の2割を日産自動車、1割を東洋ゴム工業が保有しているが、政投銀は526億円で全株式の取得を目指す。日産と東洋ゴムはTOBに賛同している。

 政投銀は国内外に幅広い取引先を持っており、鬼怒川ゴムの販路拡大などを支援する。企業価値が高まった段階で株式売却を検討するとみられる。

 鬼怒川ゴムは自動車向けゴム部品の製造を手掛けている。2015年3月期連結決算の売上高は761億円、最終利益は42億円。

 16年3月期も増収増益を見込むが、競争力を高めるためには日産に偏っていた販路を見直す必要があると判断。政投銀からの資金でグローバル販売体制を強化し、M&A(企業の合併・買収)に乗り出す。

 政投銀は「抜本的な改革には時間がかかり、短期的には業績が伸び悩む懸念もあるため、非上場化が望ましい」と説明した。

 政投銀の完全民営化は昨年の法改正で棚上げされたが、投資業務やM&A関連の助言業務で収益力を高める。