警察の責任はどこにいったのか
遊技産業の視点 Weekly View□ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田
伊勢志摩サミット開催に伴い、最大のホール団体である全日遊連は5月2~27日までを入れ替え自粛期間に設定した。これは新台入れ替えの変更承認手続きの警察の手間を業界側が自粛することでなくし、その分、世界の要人警護の側面支援になるということで、サミットなどの大きなイベントでは慣例となっているものである。国体など、特定地域のイベントではその地域のみで入れ替え自粛することもある。
変更承認手続きは風営法の規定だ。公安委員会の検定を受けた型式に属する遊技機であれば変更(入れ替え)を承認される。その確認のために実際に警察職員が店舗に訪れてさまざまな確認をして承認という流れだ。
さて、昨年から浮上した遊技くぎの問題。これは「検定の状態と異なる可能性のある遊技機が設置されている」という問題で「遊技機メーカーが出荷するときに既に異なっていた可能性がある」問題だ。
ここで一つ疑問が生じるはずだ。それは「変更承認手続きの際、警察職員はちゃんとチェックしていなかったのか」というもの。その回答はこうだ。「警察職員は検定通りかどうかチェックしていない」のである。
遊技機には取扱説明書があり、ここには検定を受けた型式としての遊技くぎの状態が記述されている。「板面垂直から○時方向に○度」という記述が一般的だ。この角度は10度前後まではおおむね垂直として検定制度の中で許容されている。
実はこのチェックを警察職員がしっかりやっていれば、今回の問題は発生しない。角度の計測はともかく、10度近くも傾いた遊技くぎは誰の目にも曲がって見える。そしてその曲がっている方向が時計の短針の○時方向かは、小学生でも見て確認することができるものだ。
それを怠っていた警察の業務の側面支援のため、5月に全国的に入れ替え自粛を実施するのがホール。今は問題の責任の所在や補償などで議論が激化しているが、警察が承認業務をしっかり遂行していることが本来は望ましいといっておきたい。
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【プロフィル】POKKA吉田
ぽっか・よしだ 本名は岡崎徹。1971年大阪生まれ。東京在住。神戸大学経済学部中退。ぱちんこ業界専門のジャーナリスト。『パチンコオカルト信者につけるクスリ』(扶桑社新書)など著書、連載等執筆業およびテレビ出演、講演など多数。
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