ライティングシートを教育現場に

eco最前線を聞く

 □光和インターナショナル社長・細貝和則さん

 画鋲(がびょう)やテープを使用せず、壁などに静電気で貼り付けられる「コーワライティングシート」を展開する光和インターナショナルは、ライティングシートを小学校などの教育現場に普及させようと力を入れている。ホワイトボードなどに使う水性ペンで書けば繰り返し使用できるほか、燃やせるごみとして廃棄できる環境に優しい商品で、細貝和則社長は「この商品が“文化”として認知されれば、地球環境の改善にも役立つはずだ」と期待を込めている。

 --コーワライティングシートの特徴は

 「ホワイトタイプと透明タイプがあり、組み合わせることでさまざまな使い方ができる。ホワイトボードのように書いたり消したりでき、クレヨンや油性ペンで書いても裏写りしない。繰り返し貼り剥がしができ、持ち運びも容易だ。さらに環境に優しい素材を使用しており、燃えるごみとして廃棄できる。企業の会議や公共施設、イベント会場などで活用されている」

 --災害時の現場でも利用されている

 「2011年の東日本大震災では避難所や病院での伝言板として使われたり、救助・復興作業を行う組織や団体が利用したりして話題になった。今では多くの自治体が災害用グッズとして備蓄するようになった。自衛隊や警察、消防などの現場の活動でも利用が広まっている。最近は新築のビル工事などで画鋲やのりが使えない場所で、さまざまな業者が作業を確認できる計画書として利用も進んできた」

 --商品開発のきっかけは

 「起業する前に働いていたIT系の会社は打ち合わせや会議が頻繁にあった。しかしホワイトボードを使っていると持ち運びができないため、スムーズにコミュニケーションが進まなかったり、過去のアイデアとの比較ができなかったりと不都合なことが多かった。自分たちが欲しいと思った商品を作ってみようというのがきっかけだ」

 --IT企業時代の経験で、アナログ商品を生み出した

 「03年に起業したときの思いは、アナログへの回帰だった。あらゆる生命や私たちの営みはアナログだ。アナログで捉えた商品や事業こそ、マーケットで長く生き続けると確信している。コーワライティングシートもマーケット目線を持って生み出したもので、こうした商品こそ、社会貢献につながると信じている」

 --教育現場への普及を目指す狙いは

 「最近の教育現場はデジタル化が急速に進んでいるが、ライティングシートのようなアナログ文化が子供たちの想像力を伸ばすという挑戦的な試みだと考えている。われわれが幼少の頃は、自宅の庭に友達と会話しながら、さまざまなことを書き込むことで想像力を育んできた。しかし、今の子供たちにはそうした機会が少なくなり、小さなノートに1人で書くぐらいしかない。子供に環境を与えることが大人の役目だ。既に子供用のライティングシートを発売しており、家の中で自由に落書きができる環境を提案している」

 --営業活動の手応えは

 「東京都港区を中心に、ライティングシートを使った授業に取り組む学校も出てきた。例えば、ある小学校では年に1回の音楽会を題材に、音楽会をより楽しいイベントにするため『音楽をかざろう』をテーマに児童たちが絵を描いた。白い画用紙と鉛筆で下書きを描いた後、ライティングシートの透明版を1枚上に貼り、色づけしていく作業だ。紙を捨てることなく、書き直しが簡単で、児童たちは自由自在に描いていたと聞く」

 --子供の頃からライティングシートに親しんでもらうことは重要だと

 「環境に優しく、想像力も育てるライティングシートを“文化”にしたいと思っている。それには小さい頃から使ってもらうことが重要。これまでアピールできていなかった若者世代に対しては、東京ガールズオーディション2015アーティスト部門ファイナリストのYUKAさんを動画CMに起用し、話題になり始めている」

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【プロフィル】細貝和則

 ほそがい・かずのり 和光大経卒。大手業務用ソフト開発・経営コンサルティング会社を経て、2003年に光和インターナショナル設立。63歳。島根県出身。