ファンケル化粧品「ファンケル メン」(2-1)

開発物語
「ファンケルメン」の洗顔料のクリーミーな泡立ちについて語る開発メンバー=横浜市戸塚区

 ■効率追求 “オトコ”目線の化粧品

 ≪STORY≫

 清潔感や身だしなみとして注目されている男性向けスキンケア商品。ファンケル化粧品が2月中旬に発売した「ファンケル メン」は、忙しい朝の時間帯に効率的にスキンケアができるよう、化粧水、乳液、美容液の機能を1つにまとめるなど、“オトコ”目線の化粧品だ。社内に初めて結成された男性だけの開発チームが、肌のトラブルに関する意識調査や化粧品の素材選びに徹底的にこだわった。

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 「肌の手入れが面倒という男性に、もっと“自分事”として考えてほしかった」

 開発コンセプトを担当した商品企画第一グループの佐々木秀明さん(33)は、新商品の狙いをこう明かした。ファンケルは17年前に初めての男性向け商品を発売しており、今回が3回目の刷新となる。佐々木さんの使命は、今回の刷新を契機に新たな男性向け商品の市場を開拓することだった。

 開発の構想は1年半前から始まった。男性向け商品の開発は初体験だった佐々木さん。早速、15歳~70代の男女約1100人を対象に肌に関するアンケートを実施した。その結果、男性の肌は「状態が良いと清潔感があり、健康そうに見える」「女性に比べて過剰な皮脂やひげそり負けなど、負担がかかっている」「スキンケアの習慣が十分ではない」-ことなどが分かった。

 ユニークだったのは、佐々木さん自身がモデルになって55歳までスキンケアをし続けた場合とスキンケアをしなかった場合を、それぞれシミュレーションしたことだった。スキンケアをしなかった顔の肌は、くすみやしわ、しみが目立つ。

 街頭で2枚の写真を見せて意見を聞いたところ、若々しく健康そうに見える未来の佐々木さんの顔に驚きや羨望の声が上がった。佐々木さんは「面倒を感じずにスキンケアが続けられ、効果をすぐに実感できる商品ならヒットするはずだ」と確信した。

 化粧品の素材選びでは、肌を“洗う”と“育む”ため、どうしたらよいかという難問が立ちはだかった。

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 フェイスウォッシュ(洗顔料)の開発では、男性がひげそりのときにも使えるよう、きめ細かい泡が求められた。洗浄剤開発グループの三譯(みわけ)秀樹さんは、容器の噴出口を3枚のメッシュ構造にして、瞬時にクリーミーな泡を出すことを実現。かさつかない肌にするため、肌荒れや毛穴が目立つ原因となる脂質をケアする成分「ムクロジエキス」を配合した。

 また、化粧水、乳液、美容液の3機能を1つにした「オールインワン スキンコンディショナー」の開発では、「しっとり感がありつつも、べたつかない」(佐々木さん)という相反するテーマの両立が課題だった。「男性の肌は、頬や顎はかさかさなのに、おでこは脂ぎってべたべたしている。女性と比べて部位による差が大きい」(スキンケア開発グループの井岡達也さん)。こうした肌の改善に1本のコンディショナーで対応するため、さまざまな成分が必要だった。

 潤いを与える成分として、日本酒エキスや、マリンセラミドなどを採用。エイジングケアとして新陳代謝を高め、タンパク質を生み出す成分として、肌にも存在するアミノ酸の一種、クレアチンを取り入れた。有効性評価グループの渡部敬二郎さんは「肌のストレスとなる防腐剤や香料などの成分を使用しないという、当社の厳しい基準の中、効果的に潤いやかさつかない肌を実現するための成分を配合することが難しかった」と振り返る。

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 保湿感があり、滑らかな使用感にするため、ジェルの形状にもこだわった。成分の相性、配合の仕方によっては、ジェル状にならなかったり、べたつき感が際立ったりしてしまう。井岡さんは「保湿感のある成分だけでは、べたべたして使えない。処方のバランスで滑らかな使用感にしなければならなかった」と振り返った。

 開発の過程では、スキンケアに慣れていない男性が洗顔した後、ジェル状のコンディショナーを使うことに抵抗感や違和感を持つのでは、という課題も出た。試行錯誤を繰り返し、「手に取ったときに、パシャッとしてみずみずしさを感じられる。この感触なら抵抗感のある男性も使用してもらえる」(井岡さん)商品が誕生した。

 佐々木さんは「肌が良くなれば、仕事や恋愛に前向きになれる。今後はヘアケアやにおいのケアもやっていきたい」と抱負を語った。