水素社会見据え実証実験 トヨタ・東芝「神奈川県をモデルケースに」

 
トヨタ自動車や東芝などは今秋から神奈川県で、風力発電で製造した水素を燃料電池フォークリフトに供給する実証実験を開始する=14日、横浜市西区

 トヨタ自動車や東芝は14日、神奈川県と協力し、風力発電で製造した水素を燃料電池フォークリフトに供給する実証実験を今秋に開始すると発表した。二酸化炭素(CO2)を排出しない水素のサプライチェーン(供給網)モデルを構築するのが狙いだ。政府も2020年東京五輪で「水素社会」を世界にアピールしようとしており、こうした実証実験が各地で広がってきた。

 「水素社会の実現には安定供給するサプライチェーンが重要になる。神奈川県での取り組みを日本各地のモデルケースにしたい」。横浜市で同日開かれた低炭素水素活用実証プロジェクトの記者会見で、こう意気込むのは燃料電池車「ミライ」を発売するトヨタの友山茂樹専務役員だ。

 今回の実証実験は環境省の委託事業で神奈川県や横浜市、川崎市、トヨタ、東芝、岩谷産業の6者が協力して実施する取り組みだ。

 具体的には、横浜市の風力発電所の電力で水を電気分解し、CO2を排出しない水素を製造。この水素を蓄電池システムや貯蔵・圧縮するシステムを使って、天候に左右されずに安定供給するという。

 さらに、水素を簡易水素充填(じゅうてん)車で輸送し、横浜市や川崎市の工場などの燃料電池フォークリフトで使用するという流れだ。

 トヨタの友山専務役員はこのサプライチェーンの構築で「電動フォークリフトよりも80%以上のCO2を削減できる」と話す。

 ただ、課題は水素の運用コストだ。環境に優しくてもコストが膨らめば、普及は見込めない。岩谷産業の竹本克哉取締役は「実証実験を通じて細かくコストを検証したい」と語った。

 6者は今秋から試験運用を開始。17年度から、全てのシステムを稼働させ、4施設で計12台の燃料電池フォークリフトを使い、本格運用する。実証実験は18年度まで行う。

 こうした水素を活用した実証実験が全国各地で広がっている。トヨタと愛知県は17年度から燃料電池車の燃料として廃熱を利用して製造した水素を供給する実証実験を始める。

 川崎重工業や岩谷産業も新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、20年をめどに神戸市で船を使った水素の海上輸送や陸揚げの実証実験を行う予定だ。

 水素社会の実現には国内外での製造・貯蔵・輸送といったサプライチェーンの構築が欠かせない。政府は全国各地での実証実験を後押しし、東京五輪に向けて日本の水素インフラを世界に発信したい考えだ。