セブン&アイHD 人ごとと捉えず自分目線で

広報エキスパート

 □セブン&アイ・ホールディングス執行役員 広報センターシニアオフィサー 山口公義氏

 --広報歴は20年に達します

 最初は百貨店のリストラ広報に直面しました。経営悪化に陥った西武百貨店とそごうの広報業務に7、8年取り組んできました。このときに感じたのは、マスコミとのやり取りで不用意な一言が命取りになり得るということで、外部に発する言葉の重みを痛感。次は再建広報です。西武百貨店とそごうの百貨店同士の経営統合で、業界初の持ち株会社誕生をアピールしました。

 --今はセブン&アイ・ホールディングスの傘下です

 百貨店事業会社としての企業価値向上に向けた広報業務に注力しています。百貨店のみならず、コンビニエンスストアやスーパー、外食などさまざまな業態の広報、さらにセブン&アイグループ全体の企業価値向上を目指した広報活動に努めています。同じ小売りでも異なる会社に属してきましたので、常に外様の視点でグループを見てきました。

 --山口流の広報スタンスとは

 広報業務はPR活動と公聴活動に大別されると思います。PR活動ばかりが目立ちますが、大切なのは公聴活動です。野球でいえばPR活動は打撃。成功は良くて3割です。災害や事件・事故などが発生すればマスコミはそちらを優先しますから。公聴活動は守備と走塁で、10割も可能です。社内外情報を収集し、その情報を社内で共有してこそ、企業を取りまくステークホルダーがどのような情報を求めているかよく理解できます。情報は「生もの」ですから、旬をすぎれば不要。情報としての価値を保つため、いつでも情報に反応できる意識を持ち続けています。また情報というのは共有すれば必ず新たな情報が入ってきます。常にアンテナを張り巡らせていることが重要です。

 --広報センターの日々のマスコミ対応は

 当社のほかセブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、そごう・西武の広報活動に加えグループ各社もサポートしています。電話による問い合わせは1日約100件、取材対応は年間約1500件、記者会見は約70件、ニュースリリース作成件数は約380件、記者懇親会は約100回です。総勢13人で対応しており、広報としての力は短期間で養われているように感じます。部員は2、3年で他部門への異動が通常で、培った広報マインドや経験が他部門で、大きく生かされていると思います。

 --広報パーソンを育てるコツは

 常に言っていることは「日々発生するどんなニュースも身近な事象に結び付けて捉える」習慣化です。「世界のどこかで火災や事件が発生」というニュースが流れたら、真っ先に「うちの社員は該当しているか、店舗被害は大丈夫か」と。また他社の情報漏洩(ろうえい)が話題となれば「当方の実情、セキュリティー施策、今後の課題」を瞬時に思い浮かべるなど、全ての事象を人ごとと捉えず、わがことに置き換えて物事をみるという頭に切り替えてほしい。このような視点でのメディアからの取材は多々あり、広報パーソンは柔軟な対応が必要です。そして社外ネットワークを十二分に活用して、常に「新しい」情報収集に取り組んでほしい。一度、接点を持った後のフォローが重要です。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)

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【プロフィル】山口公義

 やまぐち・きみよし 1981年早大法卒、西武百貨店入社。2000年広報室広報課長。02年そごう出向、転籍。03年ミレニアムリテイリング出向。10年そごう・西武広報室長。11年から現職。