東芝、V字回復狙うも「2本柱」にリスク 日立・パナの“復活劇”と異なる環境

 
2016年度の事業説明会にのぞむ東芝の室町正志社長=18日午後、東京都港区

 不正会計で経営危機に陥っていた東芝が赤字事業のリストラに一定の区切りを付け、来期は全事業を黒字化させてV字回復を狙う。ただ、牽引(けんいん)役となる記憶用半導体や原発の2本柱の事業環境は厳しくなっている。さらに、米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)の大幅な減損処理を迫られる可能性もあり、東芝が描いたシナリオ通りに業績回復ができるのか不透明だ。

 「今期の構造改革の成果を来期の全事業の黒字化につなげたい」。東芝の室町正志社長は18日に都内で開いた会見で、構造改革に一定の区切りが付いたと説明した。

 昨年12月に構造改革案を発表後、赤字事業の整理を急ピッチで進めた。白物家電事業の売却に続き、パソコン事業も4月に分社化する。東芝メディカルシステムズのキヤノンへの売却も決め、財務基盤を立て直した。

 ただ、なお経営リスクはくすぶる。東芝は同日、米司法省と証券取引委員会(SEC)からWHなど複数の米子会社が調査を受けていると発表した。室町社長は「不正会計問題に対する内容と理解している」と会見で述べた。

 東日本大震災後、世界で新規の原発建設が見送られた影響から、WHは2012、13年度に事業や資産の評価を低く見直す減損処理を実施し、合計で約13億ドル(現在のレートで約1400億円)を損失として計上していたが、東芝は昨年11月まで公表しなかった。この減損処理を東芝本体の決算には反映させていないことも市場から問題視されている。

 また、WHを買収した際のブランド価値に当たる「のれん代」3513億円(3月末見込み)の減損処理を迫られる可能性もある。

 志賀重範執行役副社長は減損処理の可能性について「株価が下がり、資産価値が低下しており、新たな減損テストを行う。その結果を見てから、今期の決算に反映するか判断したい」と述べるにとどめた。

 さらに懸念されるのが2本柱の事業環境だ。記憶用半導体はスマートフォンの販売鈍化で昨年から市況が悪化している。電力・社会インフラ事業も保守サービスで一定の収益が上げられる一方、原油安の影響で電力設備の新規建設の動きが止まる可能性もある。

 「2本柱の先行きは不透明で目標を達成できるかわからない」と話すのは、当事者である東芝幹部の一人だ。

 中国経済の減速や原油安など、足元の経済環境は東芝にとって強い逆風だ。巨額損失計上後に景気改善を追い風として復活を果たした日立製作所とパナソニックのときとは異なる。逆風をはねのけられるか。創業140年の老舗企業の底力が試される。(黄金崎元)