「機能性表示食品制度」開始から1年 認知度向上へ企業が説明会

 
機能性表示食品のサプリメントが並べられたドラッグストアの売り場=川崎市のココカラファイン京急川崎駅前店

 体にどのように良いか国の許可なく表示できる「機能性表示食品制度」が昨年4月に始まってから間もなく1年。商品の売り上げは好調だが、消費者の認知度はまだ低い。制度活用に積極的な食品会社は説明会を開いてアピール。安全性などに懸念を持つ消費者団体は、分かりやすい説明を企業に求めている。

 ◆購入経験は1割

 「トマトの栄養素『リコピン』の研究を続け、血管内壁にたまったコレステロールを取り除く善玉コレステロールを増やす働きがあることが報告されました」。1月下旬、東京都渋谷区で開かれたイベントで、カゴメの社員が「カゴメトマトジュース」の包装に2月から「血中コレステロールが気になる方に」という機能性を表示することを説明した。

 健康に関心のある女性約50人が参加。都内に住む40代の主婦は「機能性表示があると興味を引かれる。ブログに説明内容を投稿して友人に知らせたい」と話す。

 主催したのは、お試し価格で商品を消費者に提供し、意見や感想を企業に届けるサービスを展開するオールアバウトライフマーケティング(東京都渋谷区)。同社が昨年12月に1177人を対象に実施したアンケートで、機能性表示食品の購入経験のある人は約1割と少なく、購入経験の無い人の約7割が「詳しく知らない」か「聞いたことがない」と回答した。

 土門裕之社長は「メーカーが消費者へどう情報発信するかが課題」と指摘し、今後も説明会やイベントを積極的に開催する考えだ。

 ◆販売は順調に推移

 消費者庁によると、食品が健康の維持、増進にどう役立つかという表示を国が許可する「特定保健用食品(トクホ)」は、許可を得るのに数年かかるほか、資料作成に高い費用がかかることが企業には障壁になっていた。国の審査を受けなくても、消費者庁長官に科学的根拠などを販売前に届け出れば企業の責任で機能性を表示できる制度を2015年4月に新設。16年3月11日時点で受理件数は245件(うち2件は撤回)で、サプリメントが約120件と最も多い。

 機能性表示食品の販売は好調に推移している。カゴメによると、2月以降、トマトジュース購入者の3割をこれまで買っていなかった人が占め、出荷実績は前年同期の2倍を超えたという。担当者は「これまでも健康を意識して購入する人が多い商品だった。機能性を示したことで商品の価値を納得してもらえた」と分析。リコピンの他の機能を別の商品に表示することも検討している。

 アサヒグループ食品(渋谷区)のサプリメント「シュワーベギンコ イチョウ葉エキス」は「記憶力の維持に役立つ」という機能性を表示して2月1日に発売。イチョウ葉エキスを含む栄養補助食品として販売していた既存商品の昨年1年間の販売額を、約40日で上回ったという。担当者は「研究結果や機能性について商品サイトで分かりやすく説明し、制度を積極的に活用したい」と意気込む。

 一方、全国消費者団体連絡会の河野康子事務局長は「安全性や機能性に疑問がある商品もあり、企業は消費者に分かりやすい説明に真剣に取り組むべきだ。消費者から広く認知され、信頼される制度にするために、業界全体で努力する必要がある」と話している。