彫金と螺鈿施し「和」を強調 セイコー「FUGAKU」 腕時計見本市で展示

 
セイコーウオッチが発売する腕時計「FUGAKU」を手にする現代の名工の平賀聡氏=4日、千葉市美浜区

 セイコーウオッチは17日、スイス北部のバーゼルで開幕した世界最大級の見本市「バーゼルワールド」で、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」をモチーフとした腕時計「FUGAKU」を展示した。和を強調した製品をPRし、ブランド力を高めたい考えだ。

 国内市場でセイコーの高級価格帯の売れ筋は、50万~60万円の製品が中心という。今回の展示品は5400万円(希望小売価格)と高額だ。

 展示品は「クレドール」ブランドで、文字盤に立体的な大波のデザインを施した。最も細い彫り幅は0.2ミリで「現代の名工」に選ばれた彫金師の照井清氏が手掛けた。組み立ても現代の名工の平賀聡氏が担当した。

 照井氏は「立体的に彫るのは難しく、頭に設計図が鮮明に浮かんでから加工する」と説明。文字盤は海上を飛ぶ鳥に貝殻を使っており、「螺鈿(らでん)」と呼ばれる伝統工芸品に用いられる技法で表現。漆芸家の田村一舟氏が施した。発売予定は5月13日。世界で8本を限定販売する。