鴻海出資1000億円減額、月内契約へ シャープ、条件修正受け入れ
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による経営再建中のシャープの買収をめぐり、シャープが当初の出資額4890億円から1000億円程度減らす条件修正を受け入れる方針であることが分かった。両社は30日に取締役会を開く。鴻海が決議すれば、31日にも契約を結ぶ方向だ。
シャープ支援問題は、鴻海が政府系ファンドの産業革新機構との買収合戦を制したが、交渉最終盤で浮上したシャープの財務リスクをめぐり1カ月の「延長戦」になだれ込んだ。異例続きの展開をたどり、買収条件で鴻海に大幅譲歩して決着することになりそうだ。
関係者によると、鴻海は出資時のシャープ株式の買い取り価格を引き下げる。約66%を保有する親会社となる計画は変えない。契約後に買収が実現しない場合に備えた1000億円の保証金は、鴻海が撤回を求めていたが全額支払いに応じる。
シャープへの追加の金融支援では、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の両主力取引銀行が、新たに計3000億円の融資枠を設定することを週明けにも決定。3月末に期限を迎える5000億円規模の融資は借り換え後に金利を引き下げる。一方で、鴻海が両行から1000億円分を買うとしていたシャープの優先株は、買い取りを3年程度先送りした上で金額も調整する。
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