シェアリングエコノミーで地方に活力を
Bizクリニック□ガイアックス 代表執行役社長・上田祐司
インターネット上のプラットホームを介して遊休資産を共有するシェアリングエコノミーは、地方創生にも大きな影響を与える。例えば、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」に登録する個人会員の8割が地方に住み、首都圏の企業が発注する仕事を請け負っている。これが拡大すれば、「地方に仕事がない」という理由で首都圏に移住した人たちのマインドが変わる。一定のスキルがあれば、場所を選ばずに就業が可能となり、地方を拠点に活躍する個人ワーカーが続々と出現するだろう。
サービスやモノを提供する個人が地域に根付き、文化圏を形成することで、誘致をしなくても企業が集まる。シェアリングエコノミー発祥の地、米オレゴン州ポートランドはクラフトビールやコーヒーショップなどの個人産業が発展し、独自の文化を形成し、多くの企業から注目を集めている。
日本では、静岡県熱海市が新たな街の魅力を形成している。商店街の空店舗利用に対する補助金を用意し、ハードルを低くして若手の個人事業主を誘致したことにより、新感覚のカフェやゲストハウスなどが登場している。
シェアリングエコノミーはまた、多くの公共サービスが抱える問題の解決にも役立つ。有効活用されていない公共施設運営をはじめ、福祉や子育て関連サービス、観光ガイドなどの不採算事業を代替することで、大幅なコストダウンが可能となる。例えば、遊休施設の活用アイデアを募って若者に開放すれば、利用料金が収入になるし利用者が移住してくるかもしれない。そうなれば税収も上がるだろう。すでに米国では、テクノロジーを活用して地域の課題を解決する「シビックテック」が急成長を遂げ、成果を上げている。
さらに、地方の中小企業や産業従事者へのビジネスチャンス拡大も期待できる。ガイアックスでは“地域の暮らしを旅する”をコンセプトに、地域ならではのユニークな日帰り観光体験を提供するマッチングサイト「TABICA」を運営している。その中で人気を集める農業体験によって、農家の方々は副収入を得ている。自らの生活のどんな行為がサービスになるかの判断は難しいものの、プラットホーマーが魅力を引き出し、利用者にアピールできればビジネスにつながる。これに自治体の後押しが加われば、地域全体の取り組みとして相乗効果が生まれる。
もちろん、シェアリングエコノミーはすべての問題を解決する魔法ではない。ニーズがなければ機能せず、マーケティングが欠かせない。何よりも、共助の仕組みづくりに向けた強い意志と長期計画が重要となる。日本の農村で共有されていた「ため池」をつくるようなものであり、誰もが安心して共用できる「ため池」のようなサービスが共助の社会には必要である。
(この項おわり。次回からビズライト・テクノロジーの田中博見代表取締役社長が、IoTがもたらす産業革命について執筆します)
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【プロフィル】上田祐司
うえだ・ゆうじ 同志社大経済卒。ベンチャー支援会社に入社。1999年、24歳のときにガイアックスを設立し、30歳で株式上場。ソーシャルメディア事業、シェアリングサービス事業を展開する。一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事を務める。41歳。大阪府出身。
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