ジュニアNISA、出足鈍い? 証券各社、セミナーなどPRに躍起

 
SBI証券が親子向けに開いたジュニアNISAに関する特別教室。小学生たちが「株式」や「投資の方法」について学んだ

 教育資金づくりなどに活用してもらうことを目指した、未成年者向けの少額投資非課税制度「ジュニアNISA(ニーサ)」が4月から本格的に始まる。未成年者名義の口座を開設し、親や祖父母が出したお金で年間80万円まで株式や投資信託などを購入でき、配当金や売買益が最長5年間非課税になる。証券各社はこれを足場に新たな顧客の獲得につなげようと取り組みを強めているが、出足はまだ鈍いとの見方もある。

 ジュニアNISA口座の開設受け付けは、証券各社が1月から始めている。4月からは株式購入などの投資が可能になる。

 野村証券は、ジュニアNISA口座を申し込んで、1万円以上を入金した顧客に、2000円相当のカタログギフトを贈るキャンペーンを展開。また、支店で開くジュニアNISAをテーマとしたセミナーの回数を、1~3月は昨年10~12月の約2.5倍に増やした。

 大和証券は今月20日に東京都内で開かれた中学・高校受験関連のセミナーでジュニアNISAに関する講演を行い、口座開設を働きかけた。みずほ証券も自社のホームページ内にあるジュニアNISAのコーナーを4月に大幅刷新する。

 「手数料無料」をアピールする向きも目立つ。SMBC日興証券は6月末までの間、ジュニアNISA口座で株式投資信託を購入したときの手数料を無料にする。インターネット証券のSBI証券や楽天証券、マネックス証券も国内株式売買手数料を無料にする。

 証券各社の顧客は、経済的にゆとりのある中高年が主体だ。それだけに、ジュニアNISAは「現在の顧客の次の世代、その次の世代と、家族みんなと関係を築く『ファミリー化』を進める」(大手幹部)上での突破口となる。また、ジュニアNISAを契機に子供の頃から投資を身近に感じてもらえば、「世の中の金融知識の向上につながる」(同)との期待もある。

 資産運用会社の野村アセットマネジメントは1月、今年開設されるジュニアNISA口座の数は、日本の未成年者人口の約7%に相当する155万口座に達する、との試算を示した。

 ただ、ジュニアNISAをめぐっては、制度がわかりにくいとの指摘に加え、知名度もまだあまり高くないことなどから、「口座の開設受け付け状況は低調な印象は否めない」との声も聞かれる。制度の改善や知名度向上に向け、業界を挙げた努力が求められる。