タニタ 次を期待される会社の広報を

広報エキスパート

 □前タニタ ブランディング推進室長・猪野正浩氏

 --健康カフェ「タニタカフェ」を新潟県長岡市に開設して1年がたちました

 健康総合企業である弊社は、長岡市が推進する多世代健康まちづくり事業に参画。2014年11月2日、全国初の健康づくりの情報発信拠点としてオープンしました。店内は弊社の管理栄養士が考えたからだに優しいドリンク、デザート、軽食をそろえたカフェ(約40席)、足湯、ハンモックなどがあり、リラックスにつながる時間とサービスを提供しています。

 --にぎわっていますか

 オープン日は、多くの地元新聞社やテレビ局が集まり、夕方のニュースや翌日の新聞に大きく扱われました。サラリーマンや主婦、シニア層が、多い時で1日約300人来店します。長岡での取り組みをモデルとして他の自治体にも水平展開していく計画です。雇用問題や市街地活性化なども含め地方創成活動のモデルケースとして国からも注目されています。

 --健康・食の提案、街づくりとソリューション企業に移行しつつあります

 体組成計や活動量計など家庭用・業務用計量計測器メーカーですが、健康という側面から食分野に進出。タニタ食堂の展開やレシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」発行につながり、健康的な食生活を提案するようになりました。タニタ食堂1号店のオープンから5年目に入り、1食当たり500キロカロリー前後、塩分3グラム以下というタニタ食堂のコンセプトを反映させたフランチャイズ店が全国に6つ、レストランでのメニュー提供店が8つになりました。またジャパネットホールディングスや山田養蜂場などに社員食堂でのメニューを提供。今後数年で全都道府県で展開、60店舗体制にしたいと思っています。

 --コラボレーション企業が増えています

 マルコメが13年、タニタ食堂監修シリーズとして即席みそ汁や無添加生みそを発売。「おいしくてヘルシー」という声に応え、「タニタ食堂の減塩みそ」やそうざい用調味料「タニタ食堂、鶏肉のごまみそ焼き定食」などを販売し、売り上げにも貢献しているようです。プレナスが運営する持ち帰り弁当チェーン店「ほっともっと」で昨年から「タニタ監修弁当」を販売。カロリーを気にするOLなどの間で人気商品となっています。

 --給食事業を展開するレパストとも提携しました

 タニタ食堂のコンセプトを取り入れた宅配食サービス「からだ倶楽部」を始めました。弊社の社員食堂担当管理栄養士、荻野菜々子がレシピを監修、タニタ食堂ならではのメニューを提供。東京、神奈川、千葉、埼玉で展開しています。企業とのコラボは約100件あります。

 --日々の広報活動で注力していることは

 ブランディング推進室のメンバーは8人、そのうち広報担当は3人です。情報の受発信が新聞、雑誌、テレビから、ツイッターやブログなどウェブに変わりつつあります。そうした中、多くの地域や世代にタニタファンを形成していくため、ウェブを活用した広報展開も強化していきたい。また弊社はタニタ食堂やレシピ本のヒットでここまで来ましたが、次は何があるのか。次を期待される会社になるための広報を展開していくことが使命です。そしてブランドを毀損(きそん)させないように社内をコントロールするのも役割です。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)

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【プロフィル】猪野正浩

 いの・まさひろ 1984年大学卒業後、業界紙を経て89年日刊工業新聞社入社。編集局科学技術部、流通サービス部、北東京支局長、第一産業部副部長などを経て2006年タニタ入社。07年広報室長。13年ブランディング推進室長。16年4月1日から食の劇団に出向。